<西武2-5中日>◇14日◇西武ドーム

 開幕はオレだ!

 中日の吉見一起投手(25)が、西武戦に先発し、5回1/3を2失点に抑える好投で自身初の開幕投手を引き寄せた。1日のロッテ戦で右ひざに打球を当て負傷降板。アクシデントで調整は遅れたものの、2週間ぶりの復帰戦でしっかりと結果を残した。開幕までに残された登板機会はあと1回。週末のヤクルト戦(ナゴヤドーム)でも快投を見せ、栄光のマウンドからV奪回への先陣を切る。

 先発陣に欠けていた1枚の大きなワンピースが、ようやく戻ってきた。昨年最多勝を挙げ、今季も先発の右の柱として期待を背負う吉見が、復帰戦で6回途中までを2失点と好投。まだ100点満点の出来とはいかないが、低めを丁寧につく持ち前のピッチングで、開幕の座をグッと引き寄せた。

 吉見

 まだまだですが、感覚的には、6回近く投げられたことが良かった。何球かはしっかり狙ったところに行ったが、勝負球、カウント球で甘い球があったので、そこをしっかり修正すれば何とか。

 右ひざに打球が直撃し、登板を1週間先延ばしにして上がったマウンド。「様子見だった」という通り、この日の最速は143キロ。まだ本来の球威ではなく、4回と6回には連打から失点した。だが大量点は与えない。前回登板時には、ボールが高めに浮き、自慢のコントロールも影を潜めたが、登板間隔があいた期間を利用し、球離れを意識した練習を繰り返し、本来の姿を取り戻した。

 13日の試合では、開幕の座を争う最大のライバル、チェンが自己ワーストの8失点と炎上。そして、開幕への風向きが吉見へと傾いたこの日、同じ西武打線を2失点に食い止め、首脳陣にアピールした。

 今後の課題はスタミナとさらに精度の高いコントロール。この日は「正直言うとバテました」と、苦笑いを見せていたが、打球が当たった患部に違和感を感じることなく、83球を投げたことが、この日の最大の収穫だった。

 オープン戦最終登板となる次回は19日からのヤクルト戦(ナゴヤドーム)が濃厚。「あと1試合しかないので、不安は常に持っています。1試合、1球でも自分の投球ができればいい」と、残された課題を最終確認する。

 そして、その先には3・26開幕が待っている。「144分の1なので、まあ誰かがやるもんですから。周りが言うほど意識はしていません。そこがすべてではない。まあ、勝ち抜いた人間がそこに立っていると思います」。昨年16勝を挙げた吉見が、1つしかない開幕投手のイスに手をかけた。【福岡吉央】

 [2010年3月15日11時45分

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