ソフトバンクの主将小久保裕紀内野手(38)が、8年ぶりに開幕4番を務める。昨秋に右ひざ手術した主砲の松中信彦外野手(36)が開幕2軍スタート。首脳陣は開幕4番を小久保に託す。02年以来打線の中心に座ってシーズンを迎えることになったスラッガーは「とにかく、いいスタートを切る」と開幕ダッシュを宣言だ。

 準備も、心構えも整っている。小久保がナインを代表するように口にした。

 「とにかく、いいスタートを切りたい。松中?

 早く戻って来てほしいよ。今日、(全体練習スタート時に)いないんでびっくりした。そこまで深くは話はしていないけれど」

 松中とのやりとりは伏せたが、後輩の胸中は推し量るものがある。開幕4番を務めるベテランが、日本ハム・ダルビッシュ攻略の開幕ダッシュを宣言した。

 首脳陣の信頼は厚い。秋山監督は「(小久保の)状態は分かっている。試合の中の姿を見れば、十分に分かる」と話した。オープン戦で本塁打は0本だが、打撃内容に加え、経験は誰よりも豊富だ。松中不在の窮地にも王球団会長は「ウチは責任感の強い選手が多い。チームも7年ぶりの優勝を目指しているわけだからね」と小久保のリーダーシップに期待を寄せた。

 17日のフリー打撃。2つある打撃ケージの左側は引っ張りを意識し、右側は右中間方向へ打ち返した。左側では14スイングで6本の柵越え。右側では20スイングで柵越えゼロも「全部引っ張りに行こうとするから、これまでは狂っていた。そんなに甘いところばかり投げてこないからな」と抜かりはない。

 大きな変化もある。手にするバットは昨年のものより、グリップエンドに膨らみがある。「ベンチで横にあったバット使ったら、しっくりきたんだよ」とさらり言うが、バットのスタイル変更は2年ぶり。グリップが太くなれば手首への負担も大きくなると言われており、過去左手首手術歴があるスラッガーが新モデル導入を決めたのも、今季にかける決死の思いだ。

 この日、野手陣は日本ハム相手のデータ分析を行った。「ケッペルは四球で崩れそうにないな。ウルフもいい球を投げている」と、敵の新戦力も頭にたたき込んだ。開幕4番は02年以来8年ぶり。プロ17年目の主将が打線の核となって、打倒日本ハムへとチームを導くはずだ。【松井周治】

 [2010年3月18日11時48分

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