<阪神2-3横浜>◇28日◇京セラドーム大阪

 横浜の尾花高夫監督(52)が開幕3戦目で初勝利をつかんだ。打撃陣が先制点を挙げ、投手陣が1点差を守りきった。しびれる展開をしのぎきり「うれしい。投手コーチは投手が抑えて勝つとうれしいけど、監督はどんな形でも勝てばうれしい。変な感じだね」と相好を崩した。

 アナライジング・ベースボール(分析野球)でつかんだ1勝だ。早くも打順を組み替えた。2試合で15打数6安打2犠打と機能していた石川、早川の1、2番を解体。内川を1番、今季初スタメンの金城を3番に起用し、8番吉村を6番へ昇格させた。杉村打撃コーチは「吉村と金城は下柳と相性がいい。代えていこうかという結論になった」と説明する。

 その下柳対策が、ずばりとはまった。金城がこの日2得点。先制とダメ押しの貴重なホームを踏んだ。吉村は2回に下柳から右翼線への二塁打を放って勢いに乗り、7回には試合を決める1点となる右犠飛を打った。尾花野球の真骨頂であるデータに基づく作戦が勝利を生んだのだから笑いも止まらない。「うちの理想とする形ができた」と尾花監督は胸を張った。

 試合後、山口から手渡されたウイニングボールを、迷いなくスタンドに投げ入れた。慌てて球団関係者が回収し事なきを得たが「僕は全然こだわっていなかったけど、藤江が初勝利と聞いて…」と頭をかいた。藤江のプロ初勝利を忘れるほどこの一戦に集中していたのか、それとも勝利の瞬間に頭が真っ白となったのか…。「3戦目(での初勝利)は長いですよ、やっぱり」。京セラドームでの開幕3連戦、尾花監督は初めて報道陣の前で白い歯を見せた。【鈴木良一】

 [2010年3月29日8時47分

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