<西武3-2ソフトバンク>◇30日◇西武ドーム

 今年のパ・リーグも波乱の予感?

 西武の岸孝之投手(25)が7回1死まで無安打無得点の力投でソフトバンクを7回2失点に抑え、1勝目を挙げた。昨季12勝1敗だったナイターで今季も強さを発揮し、今年1月に結婚してからうれしい初勝利ともなった。チームも3位に浮上し、昨季Bクラスだった3チームがそろってAクラスにつける下克上の状況になってきた。

 岸の表情には、使命を果たした安堵(あんど)感がにじんでいた。今年初めてのお立ち台で「久々に緊張しました。先週はファンのみなさんをガッカリさせたので、今回は頑張りました」と素直な思いがこぼれた。7回に2安打されて2点を失ったが、今季初勝利。7回1死まで無安打でも「無駄に四球を出していたので、ヒットを打たれてる気分でした」と記録は意識せず、ただ勝利だけにこだわった。

 やはり、夜に強かった。昨季13勝のうちナイターで12勝。データ通り、今季初のナイターで結果を出し「デーゲームに比べて、睡眠がしっかりとれるのはあります。昨日もたっぷり寝ました。でも夜の帝王じゃないですよ」とニヤリ。3回5失点でKOされた前回登板の反省も生かした。カウントを追い込みながら痛打されただけに、打者の動作から狙い球を分析。「真っすぐに合ってない」と見るや直球で押し、要所でカーブ、チェンジアップを織り交ぜて8奪三振。気持ちで攻めの投球を貫いた。

 今年1月に結婚した。毎年春先は調子が上がらなかったが「4年間で一番いい状態」と胸を張るのは、愛妻料理のおかげでもある。1歳上の夫人が、食の細い岸に少量でも栄養がつくように考えたゴーヤー料理は、08~09年にかけて12連勝した時の験かつぎでもあった。ただ、春先のこの時期は商品が少ない。デパートの食品売り場をはしごして、ようやく探し出したゴーヤーが、登板前日の食卓にも並んでいた。体を第一に考えてサポートしてくれる夫人に、感謝をこめて“結婚初白星”のウイニングボールをプレゼントした。【柴田猛夫】

 [2010年3月31日9時16分

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