<日本ハム2-3オリックス>◇31日◇東京ドーム

 目覚めた大砲、オリックスT-岡田外野手(22)が乱パ、そして天変地異を巻き起こした。日本ハム戦の1点を追う9回にドラマが待っていた。無死一、二塁、新守護神ウルフから左翼席への逆転3ラン。岡田彰布監督(52)にも監督通算400勝をプレゼント。チームは3連勝で、21年ぶりに開幕3カード連続の勝ち越しで首位をキープした。そしてこの一撃で、09年のパ・リーグ順位がそっくり逆転する珍現象を呼び起こした。

 2人の岡田が最後の最後で笑った。できすぎたドラマは完封負け寸前の9回だった。連打で一、二塁とし、日本ハムの新守護神ウルフに、肉食恐竜ティラノサウルスのイニシャルをつけたT-岡田が襲いかかった。「監督と正田さん(打撃コーチ)に大振りせずにコンパクトにと言われた」と振り返るようにバットを短めに握る。カウント0-1からの2球目。外へ逃げる150キロのツーシームを長いリーチで拾うと、打球は逆方向の左翼席最前列に届いた。

 T-岡田はバントの選択肢も頭によぎったと振り返るが、指揮官に迷いはなかった。「バント?

 そんなん全然ない。『打ち』だけよ。センターでもどこでも入る言うとったんよ。連打が出るようなアレ(展開)やないしな。ホームランしか(ない)と思うてた」と上機嫌に言った。

 「岡田、岡田で、サッカーにも岡田(武史監督)がおるし、紛らわしいやんか」。昨秋就任した岡田監督のアイデアで一般公募によって、新登録名にいたった。和製大砲として素質を見込み、英才教育を施してきた愛弟子の働きで監督通算400勝を手にした。「もろたよ。今までの、あれへんけどな」。100、200、300勝といずれも記念球はない。通過点としてこだわりを持っていなかったが、この日はレスターから手渡されたウイニングボールをユニホームの尻ポケットにしまった。

 この勝利から約7分後に西武が勝ち、約1時間後には楽天がロッテに大勝した。これにより09年の1位から6位までの順位が入れ替わるという現象が起こった。チームの3連勝だけでなく、パ・リーグにも「春の珍事」を巻き起こした岡田オリックス。昨年最下位のチームが、気持ちよさそうに首位を快走している。【押谷謙爾】

 [2010年4月1日9時1分

 紙面から]ソーシャルブックマーク