<イースタン・リーグ:西武1-10ヤクルト>◇31日◇西武第2

 2軍で調整している西武ドラフト1位ルーキー雄星投手(18)が3月31日、無安打デビューした。公式戦初登板となったイースタン・リーグのヤクルト戦(西武第2)で先発。3回を投げて2四球、自責点0だったが失策絡みで1失点。試合は敗れ、初黒星もついた。球速は135キロ止まり。自身の最速に20キロ及ばず「50点」と自己採点も辛かった。次戦は8日の練習試合・日本通運戦(西武第2)を予定。登板を重ねて、好調時の輝きを取り戻す。

 デビュー戦のマウンドには、雄星の成長の跡も、これからの課題もつまっていた。最速155キロルーキー見たさに、西武第2球場には多くのファンが駆けつけたが、球速は135キロ止まり。「スピードはまだまだと思う。今日は力を入れて投げるより、低めを打たせて内野ゴロをとる意識だった」と振り返った。序盤は130キロすら出ないボールもあった。花巻東時代から最大の魅力だった150キロを超えるスピードは、すっかり影を潜めてしまった。

 1回、先頭打者にいきなりの四球。野口の放った左翼フェンスを越えた本塁打性の打球は、坂田のスーパーキャッチに助けられて、なんとか無失点で切り抜けた。3回も先頭を歩かせ、味方の失策と内野ゴロの間に先制を許した。全35球中ボールが19球。高めに抜けるボールも目立った。3回無安打だったが、1失点(自責0)で初黒星がつき「エラーどうこうじゃない。先頭の四球は最悪だった」と反省した。

 視察した潮崎1軍投手コーチは結果よりも内容をシビアに見つめた。「評価する段階じゃない。去年の(センバツの)菊池雄星になりきれてない」。投球フォームを高校時代に戻そうと努力しているが、まだ甲子園を席巻した怪物左腕の姿とダブってこない。さらに「フォームをムチャクチャ気にしてる。バッターというより、自分と勝負している。もっと自信を持ってほしい」と注文をつけた。

 収穫がなかったわけではない。先発としてゲームをつくることを心がけ「1点以内に抑えられて納得できる部分はある。ただ、試合には負けてしまったので、点数をつけるなら50点くらい」と話した。周囲の助言で、2日間ノースローの調整法で臨み「ブルペンからおかしいなと。体が軽すぎるというか、腕が振れすぎるというか」という影響もあった。試行錯誤の繰り返しで、課題は少なくない。それでも問題と真摯(しんし)に向き合い、道が開けるまで前だけを見て進んでいく。【亀山泰宏】

 [2010年4月1日9時17分

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