<西武5-11ソフトバンク>◇1日◇西武ドーム

 背番号21の10年シーズンが“開幕”した。ソフトバンク和田毅投手(29)が苦しみながらも今季初勝利を挙げた。制球が定まらず5回5安打4失点。本調子にはほど遠かったが、打線の援護を受けて自身初の開幕2連敗を免れた。昨年の左ひじ故障以来初めての中5日で最低限の役目は果たし、チームの連敗を3で止めた。

 口をとがらせた和田が、薄暗い西武ドームの階段を上っていった。今季初勝利の帰路にも笑顔はない。「しょぼい投球をしてしまった」。自身初の開幕2連敗は免れても、5回5安打4失点では喜ぶわけにいかなかった。

 制球力が影を潜めた。立ち上がりから球が上ずり、打者23人に対して初球ボールが14度、カウント0-2が9度。3回にタッチアップを巡る不可解な判定もあって1点を失うと、4回には2死走者なしからGG佐藤に高めの直球をバックスクリーン右へ運ばれた。5回にも3安打を許して2失点。「今日は打線が打ってくれたおかげ。もう少し投げたかったけど、代えられても仕方ない」。6回以降は救援をあおいだ。

 日程面のハンディもあった。先発陣が手薄なチーム事情もあり、昨季中盤に左ひじを故障して以来初めてとなる中5日の先発。通常は登板3日前に入るブルペンを2日前にして臨んでいた。高山投手コーチも「中5日だったのもある」と影響を認めた。

 何よりの救いが白星だ。前回は3月26日の本拠地開幕オリックス戦に先発。前夜に家族が用意してくれたタイの尾頭付きと赤飯をたいらげての登板だったが、3回に打球が右すねを直撃するアクシデントに見舞われ、続く4回にカブレラの逆転弾を浴びた。シーズンの本拠地初登板で敗れたのはプロ8年目で初めて。本人は言い訳しなかったが、高山コーチは「(患部が)しびれていた」と明かす。プロは結果がすべて。悔しさはマウンドで晴らすしかなかった。

 「こういう形でも勝ててよかった」。偽らざる本音だった。本調子ではない中で、要所を締めたからこそ勝ち星がある。昨季4勝の雪辱を期す道のりで、背番号21が第1歩を踏み出した。【太田尚樹】

 [2010年4月2日11時29分

 紙面から]ソーシャルブックマーク