<オリックス4-11ソフトバンク>◇3日◇スカイマーク

 鬼門突破で、今季の強さを証明した。ソフトバンクが、6番松田宣浩内野手(26)の勝ち越し適時二塁打などでオリックスを振り切った。3点差を追いつかれる嫌な展開の中、8回表2死からの4連打で試合を決めた。先発全員の今季最多17安打を放ったチームは昨季4戦4敗だったスカイマークで、593日ぶりの勝利。前日2日に連勝が5で止まり、首位から3位に転落したが、再び2位に浮上。強力打線の勢いは止まらない。

 松田が、鬼門突破の一打を放った。同点の8回表。2死一、二塁の場面で、この日4度目の打席に入る。そこまで3打席3三振。ここで消極的になるどころか、積極性が増すのがこの男の魅力だ。「3三振していたんで、初球からいこうと思っていた」。オリックス岸田の初球。真ん中チェンジアップを左翼線に弾きかえした。二走の小久保が勝ち越しのホームイン。08年9月17日から勝てていなかった“鬼門”スカイマークでの勝利を決める一打となった。

 今季の強さが凝縮された1イニングだった。序盤に3点をリード。先発岩崎はプロ初勝利の権利を持ってマウンドを降りた。だが2番手甲藤が同点に追いつかれる嫌な展開。この8回表も無死一、二塁の好機で4番小久保が併殺に倒れ、敗戦ムードが漂った。しかし2死から5番多村が「あそこで打たないとヤバかった」と、左前打で松田につなぐ。これに長谷川、柴原も続き、2死から4連打で4点を奪った。

 ここぞの集中力が爆発力を生んだ。「打線が調子がいいので、乗り遅れないようにしないと」と松田。この日は殊勲の一打以外の4打席は三振。今季は開幕2戦目の延長11回に勝ち越し弾、4月18日の楽天戦では田中からプロ初のサヨナラ打を放つなど、勝負どころでの大仕事が目立つ。偶然ではない。9連戦前最後の休日となった4月26日。夫人とドライブに行く予定を急きょ取りやめ、体を休めることにした。昨季2度の骨折で46試合に出場にとどまった悔しさが、全身全霊を野球に傾けさせている。

 「8回はよくつながったな。ナイスゲーム」と秋山監督の笑顔もはじけた。前日2日に連勝が5でストップし、1日で首位を明け渡したことなど感じさせない先発全員を含む17安打11得点。首位ロッテとは0・5ゲーム差。今の打線なら、いつでも首位を奪い返せる。【倉成孝史】

 [2010年5月4日11時43分

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