<オリックス4-4ソフトバンク>◇5日◇京セラドーム大阪

 新たな遺恨が生まれた。オリックス-ソフトバンクが審判から因縁カードに「指定」された。京セラドーム大阪での9回戦。4日の対戦で3死球を受けたソフトバンクが、この日はオリックスに3死球。7回、オリックス・ラロッカがこの日2個目の死球を受けると両軍が2日連続でベンチを飛び出し、本塁付近でにらみ合い。審判団は岡田、秋山両監督による異例の“タイマン勝負”で話し合いを認めたが、シコリは残したままだ。2日連続で警告試合となった同カードは次回対戦で開始前に警告される可能性もあり、死球即退場となる。

 くすぶっていた怒りの炎は2-3の7回裏2死一塁で燃え上がった。オリックス・ラロッカがソフトバンク甲藤啓介投手(26)から左腕にこの試合2個目の死球を受けると、一塁ベンチ前列で構えていた岡田監督が飛び出した。三塁ベンチの秋山監督も出る。2日連続のもみ合いはここから異例の展開をみせた。

 両者の間に入っていた審判団が下がり、両軍監督が胸を突き合わせて“一騎打ち”。手こそ出ないが、3万2505人の衆人環視の下で、口角泡を飛ばした。岡田監督が試合後、その状況を生々しく明かした。

 「(ラロッカの)後ろ(背中)を通したりな。コントロール悪い、当てる場面違う、いうのは通用せんよ。コントロール悪い投手は当ててええんか!

 見え見えのとこあるわな。『当てる場面違う』いうても、ほな、当ててええ場面あるんか。これ秋山の言葉やで。おかしいやろ、て言うたった。当ててええ場面てどこやねん。コントロール悪いで当てましたなら全部済んでしまうで」

 1分弱ほどの両監督のタイマン勝負。互いに背を向け、笑顔なくベンチへ引き揚げた。秋山監督は「死球が多いんじゃないのということだった。でも狙ってるわけではないからね」と冷静だったが、岡田監督の怒りは鎮まっておらず、シコリは残ったままだ。

 監督同士の直接対決は異例の措置。球審の山村達也審判員は「(回数は)よくはないが、両方で話し合ってもらうのが早いと考えた」と試合のスピードアップを優先したと説明した。

 前日4日に3死球を受けたソフトバンクからの報復行為と受け止めたオリックス。両軍は昨年から死球を巡って険悪ムードを重ね、今季も3月27日にもラロッカへの内角攻めを発端にベンチを飛び出している。結局2日連続で警告試合が宣告された。山村審判員は「今までの遺恨がある。昨日とか去年までのものが続いている。僕らもそのように見ている。野球をやるので。ケンカじゃないので」と因縁のカードと強く認識し「エキサイトしていれば試合前に警告することもある」と異例の措置を抑止力とする考えも示した。

 状況次第ではプレーボール前に警告が発せられ、死球即退場という厳戒態勢となる。次回は7月2日の福岡ヤフードーム。残る15試合、一触即発の因縁カードから目が離せなくなってきた。

 [2010年5月6日12時2分

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