ヤクルト高田繁監督(64)が26日、成績不振の責任を取り辞任した。楽天1回戦(神宮)の試合後、鈴木正球団社長に辞意を伝えて、了承された。今後は小川淳司ヘッドコーチ(52)が指揮を執る。08年にヤクルト監督に就任し、09年は3位でクライマックスシリーズ(CS)進出した。3年契約の最終年だった今季は13勝32敗1分けで、セ・リーグ最下位と低迷していた。

 高田監督は目に涙がたまっていた。神宮球場内での記者会見。こみあげるものを抑えるように歯を食いしばる。それでも笑顔を見せながら「本当は交流戦を最後まで戦ってから考えようと思っていたけど、これ以上はチームに迷惑かけたくないと思った。無念です」と気丈に語った。

 この日の試合前まで、球団には慰留をされ続けた。20日には鈴木球団社長らと会談し辞意を伝えたが「ヤクルトはリストラ的なことはしない」という同社長の意向もあり慰留された。しかし23日のロッテ戦では20失点で大敗。9連敗となった試合後、自ら同社長に会談を申し入れ、緊急会見となった。チームの低迷と並行して自身の去就問題が浮上。「勝ち負けは関係ない。これだけ騒がせて、選手が思い切って野球に打ち込める状況ではなかった。今朝、家を出る時点で腹は決まってました」と明かした。

 3年契約の最終年。4月中旬には攻撃力の低下が露呈し始め、カードの負け越しが続くようになった。不振を極める打線が機能せず、今季の1点差ゲームは3勝14敗。この日は4回2死二塁、9番戸村に代打が送られるのが濃厚な場面で8番渡辺直を敬遠するなど、選手が疑問視する采配も増えていた。求心力の低下の一方、新外国人野手の補強に乗り遅れた球団のバックアップ体制も、満足いくものではなかった。

 27日の楽天戦からは小川ヘッドコーチが指揮を執る。高田監督は「今日は勝って、明日から気持ち良く戦って欲しかった」と唇をかみしめた。今後は何らかのポストに就きチームに貢献する予定だ。残り98試合を新体制で巻き返しを図るチームに対して「まだ盛り返せるチャンスはある」と、笑顔で期待していた。

 [2010年5月27日9時16分

 紙面から]ソーシャルブックマーク