中日落合博満監督(56)が、ついにバットを握った。ヤフードームでの全体練習で、27日の日本ハム戦で失策した森野、荒木に30分間の熱血ノック。守り勝つ野球を掲げていながら前日は4失策、ここまで50試合で12球団ワーストの44失策という惨状に、いてもたってもいられなかった。

 「足運べ。何であきらめるんだ」「練習不足だ」「投手はゴロを打たせているんだ。何でグローブを出さないんだ」「こらっ、タコっ!」「へたくそっ!」…。表情こそ柔らかだったが、発せられる言葉には、ふがいない守備を繰り返すナインへの激しいメッセージが込められていた。

 例年、春季キャンプで連日ノックを繰り返してきたが、10年はキャンプ初日に「今年はバットを握りません」と宣言。チーム全体の底上げのため、コーチ陣にノックを任せてきた。監督がバットを握ったのは、キャンプ中に室内練習場でブランコに打った近距離でのノックと、開幕直前に遠投をしていた投手陣に打ったフライのみ。定位置についての本格的なノックは今季初めてだ。

 今季10失策の森野は、ノックを終え「足がパンパンですよ。ただでさえ飛行機でパンパンなのに」と苦笑い。7失策の荒木も「久しぶりですね。来たかっていう感じです」と汗をぬぐった。指揮官の思いは十分伝わった。そしてきょうこそ-。交流戦逆転Vに向け、オレ竜ナインが守り勝つ野球を目指す。【福岡吉央】

 [2010年5月29日10時47分

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