<阪神6-2オリックス>◇4日◇甲子園
球団史に残る一撃は、美しい軌跡だった。桧山進次郎外野手(40)は、4点リードの7回1死二、三塁で代打登場。カウント2-1から加藤の外角直球にバットを合わせた。左前に運ぶタイムリー。遠井吾郎氏と並んでいた代打安打の球団記録を塗り替える109本目。ベンチに戻ると、仲間から「おめでとう」と祝福された。
桧山
何でおめでとう?って思った。冷静に考えて、ああそうやなと思った。
同じ24番を背負った大先輩を抜いて「これに恥じないような野球人生を送っていきたい」と口にした。
打席に立つ前、ちょっぴりためらった。完封ペースだった下柳の代打で「42歳で完封いけるんちゃうかと。打席にいってもいいものかどうか。シモさん(下柳)の代わりにいったので、何とか結果を残したいと思った」。バットを握って、きっちりと結果を出した。
名実ともに「代打の神様」。ただ練習で守備、走塁に真剣に取り組む。「打って守って走る。それをやって初めて野球選手」というポリシーは変わらない。最高の準備して首脳陣の決定に従う。くしくもこの日は桧山を代打起用し始めたオリックス岡田監督が敵将。「不思議な感じ。徐々に(代打に)方向転換していく。それをずっと見てくれたわけですから」と言った。
これが到達点ではない。代打の極意を聞かれて「ピンとこない。毎回毎回集中力を持ってやっているだけ。どうやってこの投手を打てるかと。答えが出たわけじゃないし、いいヒントを探している」。虎の求道者は、これからも最善の道を探し続ける。【益田一弘】
[2010年6月5日11時6分
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