米国流データ指標「セイバーメトリクス」では、ソフトバンク多村仁志外野手(33)が17日交流戦MVPに選出された。得点生産能力を示すRC、打者の総合評価指標OPSの2冠を獲得した。高い身体能力を持つ16年目のベテランが、真価を発揮している。

 多村の打棒が、ソフトバンクを交流戦上位へ押し上げた。ソフトバンクは7日までパ・リーグで唯一、交流戦で勝ち越せず、7位に沈んでいた。しかし、残り5戦は4勝1敗で3位に浮上。多村はこの間、3戦連続本塁打を放つなど18打数9安打7打点と爆発した。

 RCは、チーム得点のうち何点を選手個人が生産したかを示す。多村のRCは全選手トップの25・1。交流戦は24試合制のため、1試合平均1点以上を個人の能力で挙げたと考えられる。OPS(出塁率+長打率)も1位の1・241。これは05年金本(阪神)の1・232を超え、打率(4割1分5厘)と同じく、交流戦の歴代最高記録を更新した。

 04年に40本塁打を放つなど、以前から抜群の身体能力は注目されていたが、度重なる故障に苦しんできた。今季はメンタルトレーナーと契約し、精神面の改造に取り組んだ。チームの勝利に貢献すれば満足できる境地に達し、集中力が故障での長期離脱やメンタルの落ち込みを防いでいる。

 今季使用しているバットは、球界最重量クラスの950グラム。昨季より20グラムも増量した相棒とともに、リーグ1位の長打率を維持している。

 [2010年6月18日10時54分

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