<広島9-12巨人>◇29日◇マツダ

 広島が早くも自力優勝消滅の危機に陥った。巨人戦(マツダ)は先発エリック・スタルツ投手(30)が大誤算。ラミレスに3打席連続本塁打を浴びるなど炎上した。その後も救援陣が止められず、8被本塁打で完敗した。巨人戦では1959年以来、51年ぶりに開幕から7連敗。このカードで3連戦3連敗すれば、早くも自力優勝の可能性が消えてしまう土俵際に追い込まれた。

 咲いた桜が散り、梅雨に入り、もうじき夏がやってくるのに今年はまだ巨人戦で勝てない。開幕から7連敗。重量打線に好き放題、空中戦を演じられた。球団ワーストにあと1本に迫る8本塁打を浴びて敗れた。現実を直視した野村監督も険しい表情を崩さない。

 「(連敗は)弱いからでしょう。悔しさは当然持っているけど、勝ったほうが強くて負けたほうが弱いということ。この打線を封じ込めてやるという気迫で楽に抑えられるものじゃないが、そういう姿を見せてほしかった」

 不用意な攻めが致命傷になった。2回スタルツが主砲ラミレスに外角低めチェンジアップをとらえられた。体勢こそ崩したが、パワーで右中間席まで先制弾を運ばれた。4回の再戦でまたも同じ球種、コースに初球を投じ、これをオーバーフェンスされた。阿部との2者連続本塁打で流れは一気に巨人へ。5回にはラミレスに3打席連続本塁打を献上。壮絶に打たれたスタルツは「何もないよ」と首を振るしかなかった。

 8回には4番嶋の3ランで2点差まで迫ったが、追撃は及ばず。今季ワーストタイの借金13に戻り、巨人戦の開幕7連敗は1959年以来の屈辱となった。野村監督は昨年10月の就任当初「優勝を目指す」と公言していた。しかし、7月1日まで巨人戦3連戦で3連敗を喫すると自力優勝が消滅する窮地に陥った。

 指揮官は「打線のほうは1打席に集中してやってくれている」とも言う。右手首骨折で主砲栗原を欠き、最善を尽くす日々だ。この日は右腕東野が先発のため、左の嶋を4番に据えた。栗原が復帰するまで先発投手の左右で右打者のヒューバーとの「ツープラトン制」で打線を組む構えだ。野村カープが今季最大の正念場を迎えた。【酒井俊作】

 [2010年6月30日11時59分

 紙面から]ソーシャルブックマーク