<巨人4-3ヤクルト>◇20日◇東京ドーム

 巨人もサヨナラ勝ちで首位を守った。ヤクルト戦の延長10回無死一、二塁、坂本勇人内野手(21)の犠打をヤクルト増渕が三塁へ悪送球して脇谷亮太内野手(28)がサヨナラのホームを踏んだ。負けていれば5月2日以来となる首位陥落だったが、執念の勝利でリーグ50勝一番乗りを果たした。セ・リーグは全3試合で延長サヨナラ勝ちとなる史上初の大熱戦となった。

 巨人ファンのため息と悲鳴が、直後に歓声に変わった。同点の延長10回裏、無死一、二塁。坂本が試みた送りバントは、勢いよく投手の正面に転がった。完全にアウトのタイミングも、ヤクルト増渕がまさかの悪送球。二塁走者の脇谷が一気にサヨナラのホームを踏んだ。タナボタの幕切れに、坂本は「結果オーライ。しっかり(バントを)練習しないと」と照れた。原監督も「何と言ったらいいのか…。バント自体は褒められたバントじゃないよね」と苦笑いを浮かべた。

 形はどうあれ、勝ったという事実に価値があった。巨人の勝利が決まる17分前、甲子園では2位阪神が広島を相手に劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めていた。負けはもちろん、引き分けでも首位から陥落していた。場内の大型スクリーンでは広島リードの途中経過が流れたため、原監督は「阪神が勝った?

 そうですか。それは知らなかった」と、目を丸くした。

 2位転落だけでなく“投壊”も食い止めた。10試合連続5失点以上(球団ワースト記録)の投手陣が奮起した。先発の東野が8回途中まで3失点で粘り、9回からは18日の横浜戦で逆転サヨナラ満塁弾を浴びた傷心のクルーンが登板。4三振を奪う力投で2イニングを1安打無失点に抑えて汚名を返上した。「今日は何としても抑えようと思った。ファンの皆さん(横浜戦は)申し訳ありませんでした」。お立ち台で神妙に頭を下げた守護神を、温かい拍手と声援が包んだ。

 劇的な白星の余韻に浸っている暇はない。21日は球宴前のラストゲーム。原監督は「今日はピッチャーがよく頑張り、非常に緊張感のあるゲームができた。いつもこういうゲームをしないといけないよね。明日もしっかりと戦いたい」。首位折り返しのかかる大事な一戦を前に、表情を引き締めた。【広瀬雷太】

 [2010年7月21日11時8分

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