<オールスターゲーム:全セ5-5全パ>第2戦◇24日◇ハードオフ新潟

 全パ先発のソフトバンク杉内俊哉投手(29)が5度目の出場で初のゼロ封だ。緊張で力みながらも結果重視の投球で2回を1安打無失点。かつてバッテリーを組んだ阪神城島との対決も「予定外」の直球勝負で二飛に打ち取った。奪三振こそ1個にとどまったが、苦手の球宴も乗り越えた左腕に、もう怖いものなんてない!?

 

 杉内の脳裏には、お祭り気分なんてなかった。マウンドを降りて捕手のロッテ里崎とグータッチすると、ようやく笑みがはじけた。2回1安打無失点。5度目の出場で初めてのゼロ封は、マジで抑えにいった結果だった。

 杉内

 やっぱり緊張した。力み通して投げた。今までは(球宴で)投げるたびに点を取られてたんで、0点に抑える目標を達成できてよかった。

 過去4度の出場では1勝2敗、防御率10・50。杉内らしからぬ結果だった。「オールスター用の投球はしません」。自身初のファン投票1位で選出された今年は、結果にこだわった。直球勝負にとらわれず、シーズンさながらに抑えにいった。唯一、遊び心をのぞかせたのが足元。一夜限りで黒地に金色のラインが入ったド派手な特別仕様スパイクを履き、晴れ舞台で華麗に舞った。

 かつて女房役として自分を育ててくれた阪神城島との対戦も実現した。前日23日の練習中には「打たせてくれよ」と裏工作?

 を仕掛けられたが「そんな余裕ないです」と受け流したという。この日の試合前には「真っすぐで勝負はしません。打たれると分かっているので。(変化球を交えた)真剣勝負で打ち取りたい」と予告。6月7日の阪神戦で3打数1安打だった先輩との決着を心待ちにしていた。

 2回1死一塁で迎えた対決は「予定外」の直球勝負になった。里崎のリードは初球から2球連続で内角高めの直球。「あり得ない配球だった。ホームランを打ってくれというような…」。里崎にすれば「スギの気持ちをくんだつもり」の“配慮”だった。あぜんとした杉内も、あえて首は振らなかった。初球で空振りを奪うと、2球目の145キロで二飛に仕留め「ジョーさんも力んでたんですかね」と余裕の笑みを浮かべた。

 心残りといえば、奪三振数ぐらいか。71年に9者連続奪三振をマークした江夏豊氏からも再現を期待されていたが、1回に巨人坂本からチェンジアップで奪った三振が最初で最後になった。「狙ってとれるなら苦労はしませんからね」。セ界の強打者たちとのガチンコ対決を存分に味わった31球。7年ぶりの優勝を狙う後半戦にも、きっと生かされるはずだ。

 [2010年7月25日11時52分

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