70歳王さん、アルプスに立つ!?

 52年ぶりの「聖地」で未来の4番を発掘する。ソフトバンク王貞治球団会長(70)が25日、全国高校野球選手権(8月7日開幕)の視察を明言した。高校野球開催中の甲子園に足を踏み入れるのは、早実高3年時の58年春に出場して以来。みずからの目で大砲候補を探し出す。スタンド観戦を熱望しており、26日に西東京大会決勝を戦う母校早実が出場となれば、アルプス席での観戦が実現する可能性もある。

 夏の甲子園へ、王会長が思いをはせた。熊本・八代市でのトークショー終了後。70歳を迎えても相変わらずの野太い声で視察を明言した。高校野球開催中の甲子園を訪れるのは、58年春に早実のエースとして出場して以来52年ぶり。半世紀以上の時を経て「聖地」に再び足を踏み入れる。

 王会長

 何十年ぶりになるのかな。暑くて甲子園らしい、あの雰囲気を間近に感じたい。テレビ越しに見るのとは違うから。

 視察の日程は8月4日の組み合わせ抽選後に最終決定する見通しだ。「前半になるだろうね。日程が合えば何日間か見たいとは思っている」。1日限りではなく、じっくりと腰を据えて目を光らせる。

 ターゲットとなるのは将来の4番候補だ。「長打を打てる若い人が欲しい」。チームでは小久保が38歳、松中が36歳、多村にしても33歳と長距離打者の高年齢化が目立ってきており、次世代の主砲候補の獲得は急務。球団内ではPL学園の吉川大機内野手(3年)を筆頭に、同校の勧野甲輝内野手(同)や、地元福岡では九州国際大付の榎本葵外野手(同)にも高い評価を与えていたが、いずれも地方大会で姿を消した。「高校生は成長のスピードが速いから」と、大舞台で一気に開花する逸材の登場に期待する。

 現地では貴賓席よりもグラウンド間近での観戦を希望した。「スタンドで見たいね」。すでに大学野球には何度も神宮球場に足を運んでいる。早大の大石や斎藤、中大の沢村ら投手の有望株を直接チェックしたが、ガラスで覆われた別室だった。今回は気温35度を超える猛暑が予想されるが、意欲がなえることはない。

 さらに楽しみなのが母校の登場だ。早実は26日に西東京大会の決勝を戦う。後輩たちが甲子園行きを決め、スケジュールの都合がつけば、アルプス席で観戦する可能性も出てくる。早実高時代は57年春に2年生エースとして優勝投手に輝き、同年夏には延長11回を投げ抜きノーヒットノーランを達成するなど、歴史に残る活躍を見せた。今度はスタンドから、自身のような後世に語り継がれる大打者を発掘する。

 [2010年7月26日12時24分

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