<広島2-13巨人>◇1日◇マツダ

 炎の猛抗議も実らなかった。広島野村謙二郎監督(43)が猛抗議に出た。5回、一塁岩本のワンバウンド捕球がセーフと判定されると、一塁塁審に詰め寄り約4分間「捕球していた」と猛アピール。しかし判定は覆らず、この直後に先発ジオが決定的な3失点。新外国人ヴィニー・チューク投手(31=パイレーツ傘下3Aインディアナポリス)も来日初登板で6失点。後半戦6連敗で借金はさらに増えて「22」となった。

 野村監督が脱兎(だっと)のごとくベンチから飛び出した。5回2死二塁、巨人福田の打球はサードゴロ。ところが、小窪の一塁送球がワンバウンドになり一塁手岩本がジャッグル。それでも脇に球をはさんだが、判定はセーフ。これに怒りの形相で野村監督が有隅一塁塁審に突進した。

 岩本からボールを受け取ると、脇にはさみ「この状態で球を手でつかまない者はいないだろう?」と必死に訴えた。だが「脇で確保するのは完全な確保ではない」と手でつかんでいないとして判定は覆らず、4分間の猛抗議も実らなかった。試合後、冷静さを取り戻した指揮官は「(脇に球があっても)手でつかんでいると言ったが、認められなかった。ジャッジが覆ることはないとしても、こちらからみると自信なさげな判定にもみえたし、残念だ」と悔しがった。

 この中断直後、右肩違和感のため7月19日以来の先発だったジオが、坂本以下に3連打され3点を失った。2回の2被弾以降、踏ん張っていたが決定的な失点でゲームの主導権は巨人にもっていかれた。

 勝てない現状を打破しようと、打線を改造するなどのてこ入れをしているが効果が出ない。9回には、この日登録したばかりの新外国人チュークをテスト登板させたが、1回持たず6失点でKOされた。指揮官は「今日の投球は(調整で参考外だから)頭の中から消したい。徐々に調子も上がってくるはず」と、必死に前を向いた。

 この日、松田元オーナー(59)は「けが人が多く苦しいのは当然。戦力不足をカバーしてやれなかったフロントにも責任があるし、現場にも選手にもあるだろうが、監督1人だけの責任ではない。やろうとしている野球は間違っていない。苦しみながら、成長するチャンスととらえてもらいたい」とゲキを飛ばした。後半戦6連敗で借金は「22」となるなど、なにもかもがうまくいかない展開にも、野村監督は「なんとか知恵を絞って考えたい」と話し、長いトンネルの中に光を見いだそうとしていた。

 [2010年8月2日11時26分

 紙面から]ソーシャルブックマーク