右足楔状骨剥離(けつじょうこつはくり)骨折のため、2軍でリハビリ中の阪神能見篤史投手(31)の実戦復帰が9月になることが11日、分かった。ブルペンで連投もこなすなど回復は順調で、8月中の復帰が濃厚と見られていた。だが首脳陣は佳境の優勝戦線やクライマックス・シリーズ(CS)登板も見据え、万全を期してじっくり完治させる方針を選択。昨年チームトップ13勝の左腕が、Vへの使者としてシーズン終盤のマウンドに上がる。

 右足骨折から再起を期す能見の実戦復帰が、9月になることが決まった。順調な回復から、当初は8月中の復帰が濃厚と見られていた。だがチーム関係者は「1番怖いのはもう一回やって今年投げれなくなってしまうこと。今慌てることはないし、8月は2軍での登板もない」と明言。この先の“大事な戦い”を見据え、じっくり時間を取って完治させてから、マウンドに上げる方針を明確にした。

 9月。それは真弓監督が「本当の勝負は9月後半」とする時期に合致する。優勝争いが佳境を迎えるヤマ場だ。その時、ほしいのは実力と豊富な経験を持つ投手。首脳陣の頼りは、体調万全で戻ってくる能見の復活だ。この日の台風接近による中止で9月下旬以降、日程が決まっていない試合はリーグ最多の10となった。しかも9月には直接対決が巨人と5試合、中日と6試合ある。さらに10月には、まだ1度もステージ突破すらしたことのないCSも控える。能見にかかる期待はズバリ、優勝使者だ。

 この日、鳴尾浜で調整した能見も「足は全然問題ない。肩はできているんで、焦ることはない」と手応えをつかんでいる。すでにブルペンでは連投にも取り組み、球数も60球まで増やした。投内連係にも参加し、坂道ダッシュも行うなど、回復は極めて順調だ。骨折で足の筋肉が弱っている分、「もっと走り込まないといけない」課題は自覚。だが連日入念な走り込みを行うなど、下半身強化に余念はない。離脱でチームに貢献できなかった分、最後に恩返ししたい思いは強い。

 今後は打撃投手やシート打撃登板を経て、まずは2軍戦に数試合登板。そして1軍の必勝マウンドに上がるシナリオだ。佳境のV戦線、そしてCS、日本シリーズと、ここ1番の勝負どころで満を持す。チームは現在5連敗中と苦しいが、ここが我慢のしどころ。この夏を乗り切れば、13勝左腕が帰ってくる。【松井清員】

 [2010年8月12日11時31分

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