1カ月ぶりの甲子園で、トリがレッドを越える!

 阪神鳥谷敬内野手(29)が31日横浜戦(甲子園)で月間最多安打の球団記録に挑戦する。8月は98打数41安打で打率4割1分8厘のハイアベレージを誇り、昨季引退した赤星が05年4月にマークした月間42安打の球団記録にあと1本と迫る。残されたチャンスはあと1試合ながら、長いロードを終えて戻ってきた甲子園の“おかえりムード”にHランプを輝かせる。

 1カ月ぶりの甲子園が、記録達成の舞台となる。赤星が持つ月間安打記録の更新に、チャンスは1試合。だが今の鳥谷にとって、難しいハードルではない。

 8月は98打数41安打の大当たり。打率は驚異の4割1分8厘を誇っている。今月の24試合で、無安打だったのはわずか4試合だけ。甲子園では1試合しかしていない長期ロードで、ハイペースに打ち続けた。

 記録超えの興味…本人は努めて冷静だ。大阪への移動前に語った。「それは、あまり気にせずにいきたいと思います」。個人的な数字に興味を示さない。打線の軸として、チームの勝利のために尽くすだけだ。

 29日ヤクルト戦(神宮)では5打数4安打の固め打ちでロードを締めた。16号2ランを放ち、5打点の活躍。その結果、113試合目にして、打率も3割1厘と大台に乗った。打点も自己最多の82とした。終わったときに個人記録という“おまけ”がついてくるのはこれまでと変わらない。

 トンネルを抜け出して、今がある。「シーズンを通して、いいときも悪いときもあると思います。だけど、悪いときに耐えてきたことが、今良い形になっている」。5月には腰を痛め、3番から1番への打順入れ替えもあれば、スタメンを外れることもあった。それでも、現実を受け止めて乗り越えてきた。

 勝利につながるのであれば、手段は問わない。今月は安打だけでなく、走力、機動力も奮っている。チームトップの10盗塁のうち、半数の5個を8月にマークした。24日広島戦(京セラドーム)では、開幕戦以来今季2個目の犠打を成功させた。個人記録ではなく、勝利貢献を優先して体現する。優勝争いの緊迫感も、プラスに働く。

 ペナントレースの佳境。1つの試合の取りこぼし、1つの打席の失敗が、最後に悔やみきれない差となって表れる。「目の前の試合を、1戦1戦がんばっていきたいです」。まずは、30日ぶりの甲子園で元気な姿を見せつける。【鎌田真一郎】

 [2010年8月31日11時38分

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