<広島8-3阪神>◇4日◇マツダスタジアム

 大荒れ、大暴れで来季残留アピールだ!

 広島外国人ジオ・アルバラード投手(32)が炎天下で自己最多134球の熱投を見せ、今季7勝目を手にした。1回からプロ野球ワーストタイの1イニング3与死球を記録するなど、大荒れの立ち上がりで序盤3失点。だが2回、自らの来日初タイムリーで同点にすると、3回以降は阪神打線を沈黙させた。6回2/3を3失点で自身4連勝。助っ人の荒々しい活躍でチームは首位阪神に2連勝だ。

 猛暑のマツダスタジアムで迎えた立ち上がりは最悪だった。先発ジオの初球スライダーはいきなり阪神マートンへの死球になった。続く平野にも初球スライダーがふくらはぎを直撃。わずか2球で無死一、二塁のピンチを背負った。

 続く鳥谷にも四球を与え満塁。そして新井にアッサリと先制打を浴びた。開始早々わずか9球で2失点。「何が起きたのか分からない。ボールが滑って」と本人も困惑した。ブラゼルを併殺打に打ち取ったが、さらに金本へ四球、城島に死球の1イニング5与四死球でジオ劇場が幕開けした。

 首脳陣もあきれた。野村監督が「初回に5個…。ベンチワークが苦しくなる」と言えば、大野ヘッド兼投手コーチも「高めは抜けて、低めは引っかかる。なんなんでしょう」と困惑。1イニング3与死球はセ・リーグでは79年8月1日に巨人西本聖が広島戦で記録して以来31年ぶりとなる珍事。「歴史に残るのならばアリガトウ。ただ、そういう記録は」と笑い飛ばした。

 だが2回に来日初打点となる同点の2点二塁打を左中間に放つと、ジオは本職でも目覚めた。荒々しさが力強さに変わった。3回から7回途中まで猛虎打線をゼロ封で降板。7四死球を与えながら、終わって見れば失点は2回までの2点だけ。「こんなに投げたことはない。日本式かな」と自己最多134球を振り返った。

 味方打線の奮起もあり終わってみれば8-3の快勝だった。首脳陣は「まぁ、3回以降はゼロに抑えたし」とぎこちない笑顔。来季契約は未定だが、予測不能のジオの終盤の変身は強い印象を残した?

 はずだ。【佐藤貴洋】

 [2010年9月5日10時6分

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