<横浜7-5阪神>◇15日◇横浜

 緊張でガチガチだったプロ初先発の横浜田中健二朗投手(20)が、味方打線に助けられた。2回までに大量7点。「野手のみなさんのおかげで、強気なピッチングができたと思う」。試合中も、打ってくれた先輩に、頭を下げて回る姿が初々しかった。

 最速142キロ、角度のある速球で阪神打線を封じた。プロに入ってから覚えたチェンジアップとツーシームも効果的だった。「打者1人1人と勝負できました。首位を争っているチームですし自信になりました」と、手ごたえ十分のマウンドになった。

 07年、静岡・常葉学園菊川でセンバツを制した左腕にとっても1軍の舞台は特別だった。7日の初昇格後は緊張の連続。ある日、カメラに囲まれて耳を真っ赤にしていると、球団関係者から「甲子園で優勝してるんだから、こんなの平気だろ」と言われた。しかし、田中は「甲子園なんて3年も前のことですから」と真顔で答えた。この日も緊張は避けられなかったが、マウンドではそれを感じさせなかった。

 愛知・新城市の実家が、最寄りのコンビニまで車で10分という理由から高校時代のあだなは「田舎」。入団会見では「ハマの田舎って呼んでください」と言って笑わせた。あれから3年。左肩のケガを乗り越え、阪神打線をねじ伏せた。「田舎」はさすがに卒業する。「新しいニックネームを募集します」と笑った。【竹内智信】

 [2010年9月16日12時22分

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