ヤクルトの来季監督に、小川淳司監督代行(53)が就任することが18日、分かった。24日にも正式に発表される。球団は荒木大輔投手コーチ(46)との二者択一で監督人事を進めてきたが、どん底のチームをよみがえらせた小川代行の続投方針を固めた。

 高田前監督の辞任という緊急事態で手腕を発揮、チームを完全に立て直した小川代行の手腕が評価された。スター性のある荒木コーチの就任が既定路線だったが、球団内外で小川代行の続投を押す声が高まり、9月下旬まで人事が難航する事態となった。顧客の意見を重要視する小売業として成り立つヤクルト本社の企業体質もあり、ファンの声も尊重した人事となった。

 球団は将来的に荒木コーチに監督を任せる方針で、来季の2軍監督就任を要請する方針。今年5月下旬に途中加入し、打線の復活に尽力した伊勢孝夫打撃巡回コーチ(65)は正式に打撃コーチに就任する。今季の成績を尊重し、コーチ陣の大幅な入れ替えはない模様だ。チームはAクラス入りをかけた戦いが続くが、来季の監督候補2人がベンチにいる状況は異例。大事な時期に現場に戦いに集中させるためにも、シーズン中のできるだけ早い段階で発表することになった。

 小川代行は99年からヤクルトの2軍監督を9年間務めており、飯原や畠山ら下積み時代から知る選手の起用にもやりがいを感じている。コーチや選手の意見を積極的に聞いて采配をふるい、チーム関係者も「いろんなところに目が行き届いて、2軍監督の経験が生きている」と話している。実直で、自らの采配ミスは素直に認める。時には厳しく、時には温かく選手と対応する人柄に、求心力も高まっている。来季に向けて、ヤクルトの新体制が固まりつつある。

 [2010年9月19日11時24分

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