<練習試合:中日3-5LG>◇特別ルール◇13日◇アイビー

 え?

 守りっぱなし!?

 落合竜が“超変則ルール”でCSファイナルステージ(20日から)に先発が予想される山井大介投手(32)、中田賢一投手(28)の実戦調整を完了した。13日、韓国LGとの練習試合(アイビー)は悪天候によって中止の可能性があったため途中で相手側に申し入れ、5回から延長12回まで守備だけを行った。チームにとって投手陣の調整不足はCSを戦う上での致命傷となりかねないだけに、強引なまでにオレ流を貫いた。

 朝から降り続いていた雨が激しくなってきた3回、中日ベンチの動きがあわただしくなった。先発山井に代えて4回から中田賢をマウンドに送った。

 みやざきフェニックス・リーグ予備日のこの日、CSの先発要員である山井、中田賢を登板させる目的で組まれた韓国LGとの練習試合。雨天中止となれば投手陣の調整に狂いが生じてしまう…。天気との戦いだった。そこで落合博満監督(56)と相談した森ヘッドコーチがLGベンチへ直談判に出向いた。

 「守備だけをやらせてもらいたいんですが」。

 互いにコーチ研修なども行い、提携球団であるLGが快く了承してくれたことで急きょ超変則ルールが採用された。5回、山井が4イニング目の投球を終えると、続いて中田賢がマウンドに上がった。中日の攻撃はなし。守備陣も悪条件に故障防止のために主力を3回で交代させ、控え野手を守らせていた。

 ここから中田賢→高卒ルーキー岡田俊哉投手(18)、中田賢→2年目小熊凌祐投手(20)→中田賢→岡田→中田賢の順番で登板した。中田賢に実戦同様のインターバルを与えるために若手投手を挟みながら、延長12回まで中日は守りっぱなしだった。

 「雨が心配だったんですが、これだけ球数を投げられてよかったです。腕も振れたし、しっかりとしたまっすぐを投げられました」。合計5イニングを4安打1失点に抑えた中田賢は、CS前最後の実戦登板に手ごたえを感じていた。「全部が全部悪いわけではない。若干、変化球が抜けてしまうところがあった」。2本塁打を浴びて4回4失点の山井も、課題と収穫を感じ取っていた。悪天候の中、両投手が何とかまとまったイニングを投げられたのも、相手側の協力と強引なまでのオレ流ベンチワークがあったからこそだ。

 「きょうは岡田と小熊が見られたからいいじゃないか。普段見られないんだから」。試合後はこう言って、報道陣を煙に巻いた落合監督だが、協力してくれたLGの首脳陣に対しては「きょうは、ありがとうございました」と頭を下げて、感謝した。その表情は無事に調整を進められたことによる満足感が漂っていた。悪天候もオレ流で乗り切った。落合竜がまた1歩、CSファイナルステージへの準備を進めた。【鈴木忠平】

 [2010年10月14日11時14分

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