<パCSファイナルステージ:ソフトバンク1-0ロッテ>◇第3戦◇16日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクが、1回に挙げた1点を4投手の継投で守り、球団初のクライマックスシリーズ(CS)突破に王手をかけた。先発デニス・ホールトン投手(31)が6回途中を無失点。森福允彦投手(24)と摂津正投手(28)がピンチをしのぎ、最終回は守護神馬原孝浩投手(28)が3者凡退で仕留めた。馬原にとっては、05年プレーオフで悪夢の逆転負けを喫したロッテへのリベンジとなった。アドバンテージの1勝を含んで3勝1敗。17日の第4戦で勝つか引き分けで、日本シリーズ進出が決まる。

 馬原が気迫でねじ伏せた。ロッテの金泰均を152キロの直球で、見逃し三振に仕留めると、右手を握りしめた。1点差を死守して勝利のハイタッチ。真っ赤に染まった観客席が沸く中、クローザーとして至福の喜びに浸った。

 5年前の悪夢を振り払った。05年10月17日、ロッテとのプレーオフ第2ステージ最終戦。1点リードの8回1死一、二塁から里崎に決勝の逆転二塁打を浴びた。どんな負けでも「ロッカーを出れば冷静になれる」という男にとって、忘れられない試合だった。試合間隔が空き、26日ぶりのガチンコ勝負だったが「1-0の場面で出て行くのは、ずっと頭でイメージしていた」。1死走者なしで迎えた因縁の里崎からは、フォークで空振り三振を奪った。

 先発ホールトンから馬原の間をつなぐ救援陣も完ぺきだった。今季、敗戦処理からはい上がってブレークした2番手の森福は、6回2死一、二塁の場面で登板。代打今岡を中飛に打ち取ると「使ってくれて、『やってやろう』という気持ちだけだった」。3番手の摂津は、1点差の7回2死二、三塁と一打逆転の場面で出ていくと、首位打者の西岡を二ゴロに抑え、8回は2~4番を7球で3者凡退に抑えた。2年連続で70試合以上に登板した鉄腕は「チームの持ち味が出た。接戦で勝つのがチームの武器」と誇らしげだった。

 大舞台でも救援陣の力強さは変わらず、1回に相手のミスで手にした1点を守り抜いた。球団初のCS突破へ王手をかけ、「厳しい場面でシーズンと同じようにちゃんと仕事をしてくれた。馬原も良かったね」とねぎらった秋山監督は「王手?

 あと1つ勝つのが大変なんだよ。頑張ります」と、気を引き締めた。帰りの車に乗り込む間際に馬原も「まだ明日がある。日本シリーズ(進出)は決まってない。気を抜かず、いい投球ができるようにしたい」と慢心はなかった。あのロッテ戦の屈辱から17日で丸5年。今度は未体験の歓喜と、今年2度目となるビールかけが待っているはずだ。【太田尚樹】

 [2010年10月17日8時10分

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