マエケンは6冠目、カープから24年ぶり最多タイ4人!

 11日に発表された「三井ゴールデングラブ賞」で広島から前田健太投手(22)、梵英心遊撃手(30)、広瀬純外野手(31)、赤松真人外野手(28)が、いずれも初選出。今季、最優秀防御率などリーグ3冠に輝き、沢村賞など受賞ラッシュの前田健は「毎年とれればいい」と野望たっぷりに喜んだ。

 若きエースの総合力を証明する戴冠だった。今季、あらゆるタイトルを独占する前田健が、今度はゴールデングラブ賞に輝いた。この日から大分・由布院温泉でリハビリキャンプを開始。湯上がりで上気した表情が、いっそうほころんだ。

 「去年は惜しかった。もう少しでとれなかった。元々、守備には自信があります。僕の長所でもあるし、そこを評価してもらえて、うれしいですね」

 文句なしのトップ選出だった。全260票のうち、164票を集め、2位の中日浅尾(33票)に大差をつけた。華麗で正確なフィールディング能力の高さは群を抜いていた。昨季は1位の巨人ゴンザレスに5票足りない3位に終わったが、今年は最優秀防御率(2・21)や最多勝(15勝)などのタイトル独占もプラスの判断材料になり、新たな勲章を勝ち取った。

 名手をうならせるディフェンス能力だ。大活躍していた6月下旬。PL学園の先輩にあたるヤクルト宮本も「フィールディング、けん制がしっかりできるから投げることにも集中できると思う」と投球との相乗効果を口にして、守備力に太鼓判を押していた。前田健も小学3年で野球を本格的に始めた当初は遊撃も守っていた。「投手だけやっていたわけじゃない。内野を守ってもともと得意だった」と振り返る。

 堅守をテーマの1つに掲げた野村カープにとって大収穫の秋になった。カープで4選手が選ばれるのは86年(北別府、達川、衣笠、長嶋)以来、24年ぶりだった。5位のチームからの4人選出はリーグ史上初。前田健は「投げていて心強い。たくさん助けてもらったおかげで、勝ち星や防御率の成績を残せた。本当に感謝です」と頭を下げた。

 投手3冠のほか、オフは最優秀バッテリー賞、沢村賞に続く6冠目。それでも前を向く。「一番とれる確率の高い賞。毎年、名前が挙がるというか、とれるくらいの成績を残したい」。ゴールデングラブ賞受賞の日本最長記録は福本豊外野手の12年連続(72~83年)だ。来年以降も貪欲(どんよく)に狙う。投球だけでなく、華麗な守備でファンをとりこにする。【酒井俊作】

 [2010年11月12日10時28分

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