夢のビッグアーチをかける!?

 広島岩本貴裕外野手(24)が27日、尾道市内の栗原北小学校で野球教室に参加し、周囲の度肝を抜く豪快アーチを放った。手本を見せた打撃のデモンストレーション。強振した打球はピンポン球のように高々と舞い、右翼後方の高台にある民家の下まで届いた。

 到達点は校舎5階分で約30メートルの高さだった。野球少年が拍手すると、岩本もガッツポーズで大はしゃぎ。「あそこまで飛ぶとは…。ビックリしました。軟球は詰まらせ気味にしないと飛ばないんですよ」と“どや顔”で振り返った。

 金属製のノックバットを用いたとはいえ、打ったのは飛びにくい軟式球。少年野球チーム・栗北フレンズの井上将吾監督(36)も「150メートルは行っていると思います。あれを期待して、みんなマツダスタジアムに行くでしょう」と驚きを隠せなかった。

 飛距離は多くのドラマを残す。53年には西鉄中西太が平和台のバックスクリーンを超える場外弾を放ち、推定161メートルは日本人打者の打球で最長といわれる。東映大杉勝男は「月に向かって打て!」と助言されて長距離砲としての素質を開花させた逸話がある。

 今季14本塁打の岩本はチーム屈指のパワーヒッターだ。「(飛距離は)見た目はすごくいいかもしれないです」と声をはずませる。ターゲットはズバリ本拠地の右翼2階にそびえるパフォーマンスシートだ。来季から飛距離が約1メートル短縮されるといわれる低反発球を用いるハンディキャップもあるが、まずは予行演習で成功させた?【酒井俊作】

 [2010年11月28日11時45分

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