細川の壁を越えて、正妻の座つかむ!

 ソフトバンク田上秀則捕手(30)が、西武からFAで新加入する細川亨(30)に宣戦布告だ。今季不調に終わった09年チーム本塁打王は今オフ「岩登りトレーニング」の導入を検討。インドアクライミングと呼ばれる人工の岩を登るスポーツで握力、背筋力、判断力などを同時に鍛え上げる。同い年のライバルに、正捕手の座を渡さないつもりだ。

 田上に、本来のふてぶてしさが戻った。今オフ、西武からFAで細川の新加入が決定。同い年の強力なライバルの出現が、09年ベストナイン捕手の闘争本能に火をつけた。

 「負ける気は、さらさらない。誰が入ってきても関係あらへん。自分がやるだけやから」

 昨季はチームトップの26本塁打を放ったが、今季は打率2割3厘、7本塁打と極度の不振に苦しんだ。自信を失いかけた時期もあったが、ライバルの新加入がハングリー精神を呼び戻した。正捕手争いでは1歩も引かない考えを示し、準備として今オフは「岩登りトレ」導入を検討していることを明かした。

 「挑戦してみようかと思って。握力とか背筋とかが同時に鍛えられる。頭も使うから」

 検討しているのはインドアクライミングと呼ばれるスポーツ。自身の体力だけで自然の岩場を登るロッククライミングから発展したもので室内で人工の岩を自身の力だけで登る。来年1月に母校の大産大付グラウンドで自主トレを行うことを恒例にしているが、その際に大阪のジムで岩登りに挑戦する。昨オフは母校の九共大体操部で、トランポリントレに挑戦した。「一瞬で力を爆発させる」ことが目的だった。今オフは走り込みでの下半身強化と平行して、0割6分9厘だった盗塁阻止率のアップを目的に、握力や背筋力を徹底的に鍛えあげる。本来の力を出せば、長打力はチームトップクラス。正妻の座をつかむために、弱点を克服してみせる。

 「30歳すぎて、活躍できないならクビ。やるしかない。誰が入る、とかじゃなく自分」

 1度地獄を見てきた男にとっては、今回のライバルの出現も乗り越えるべき1つの壁にすぎない。25歳だった05年秋に中日から戦力外通告。ソフトバンクの入団テストを経てベストナインにまで登りつめた。09年には26本塁打、80打点。長年チームが悩まされてきた「ポスト城島」の壁も乗り越えた。

 険しい岩場を登り切るか、あきらめて滑落するか-。自身の人生と照らし合わせるような岩登りトレで、田上が細川との正妻争いに勝つ。

 [2010年12月1日11時12分

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