今季限りで現役を引退し、阪神の2軍投手コーチに就任する前楽天の藪恵壹投手(42)が15日、若手虎投の3大改革プランを披露した。現役の道を模索していた米国から関西空港着の航空機で帰国。16日にも正式契約を結ぶが、早くも心は6年ぶりに復帰するタテジマ戦士に戻っていた。

 藪

 10~15年できるのに6、7年で終わる選手もいる。選手は球団の財産。登板過多にならないように、特に肩と肘は守らないと。活躍した秋山も過度な期待をかけすぎてはいけない。

 海外で刺激を受けた1つに球数制限があった。試合はもちろん練習でも徹底。強化の名の元、酷使されることはない。「肩肘の使い減りは厳禁」だ。36歳で渡米した自身も42歳まで活躍。米国式トレーニングの成果もあって球速も阪神時代より上がり、40歳目前で150キロを計時した。成功体験に基づく改革案だった。

 藪

 成長し切れてない選手は同じ練習でいいのか。結果が出ないなら変えていかないと。(海外6年で)アイデアはたくさんある。

 07年白仁田、08年蕭一傑、09年二神のドラフト1位トリオが、まだ1軍登板0の課題も踏まえ「個別指導に重点を置く」大切さを力説。実戦を積むべく、今オフ阪神が不参加だった「ハワイウインターリーグへの派遣復活」も提言した。

 もちろんメジャー流を押し通す気はない。中西コーチとじっくり話し合い、現状に即していいものだけを取り入れる。選手とも対話を重ね、ベストを模索。目指すは日米長所の融合だ。

 藪

 育成法は(日米で)明らかに違う。でも今のやり方は否定しないし、いきなり全部変えようとすると多少の逆風があると思う。でもそれに立ち向かっていく気力はある。選手の成功を第一にやっていきたい。

 信念を持って課題の若手育成に取り組む。それが虎への恩返し。藪コーチの挑戦が始まる。【松井清員】

 [2010年12月16日10時50分

 紙面から]ソーシャルブックマーク