“ダル魔球”もう投げてたよ!?

 阪神久保康友投手(30)が24日、ライジング・カットボールの使い手だったことを明かした。日本ハム・ダルビッシュが今季のオールスター第1戦で披露した魔球を、3年前には習得していたという。これまで多投しなかったが、来季は解禁。左打者対策、そして鬼門東京ドーム打破の秘密兵器とする。

 探求心旺盛な右腕が、知られざる事実を明かした。7月のオールスター第1戦でダルビッシュが投げて球界が騒然としたライジング・カットボール。その魔球の第一人者は球界のエースではなく久保だった。

 「2、3年前ぐらいから投げていますよ。試合で多投はしていないですけど」。

 器用な久保は、スライダー、カット、フォーク、シュート、チェンジアップなど多彩な変化球を操る。ブルペンでは握りをアレンジして軌道の変化について研究を重ねている。試行錯誤の中で行き着いた変化球の中の1つが、ライジング・カットボールだった。

 世間の認知度では、予告投球したダルビッシュに後れを取ったが、習得期間が長いからこそ威力を発揮するかもしれない。

 「左打者に対して内角に食い込むようなイメージ。基本は落ちる球と外角のボールだけど、狙われたら内角にも投げないといけない。イヤだと感じる打者には効果的に使いたい」。

 入団時から苦手とする東京ドーム対策に想定してる。今季も同球場で3試合に投げ1勝1敗で防御率5・29と苦しんだ。小笠原、阿部ら左の強打者を擁する巨人打線が相手。8月5日には高橋に3ランを打たれるなど、4回6安打6失点で降板した。

 「意識させる球が必要。超一流の打者は、待ち方が変わらない。意識をさせれば、投手の勝ち。あとはその繰り返し」。

 その手段の1つが、ライジング・カットボールというわけだ。実は、ダルビッシュの新魔球誕生に世間が騒ぐ中、球宴第2戦では初出場の久保も魔球を披露していた。90キロ台のパームで、パ・リーグの打者を翻弄(ほんろう)。2イニングを6人で打ち取り、ベストピッチャー賞を獲得していた。トラの魔球使いが“本家”にも劣らない衝撃を与える。

 [2010年12月25日11時17分

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