出てこい、百万石プレーヤー!

 阪神川藤幸三OB会長(61)が2日、東京ドームで行われたプロ野球OBと韓流スターのチャリティー・イベント「Dream

 Game2011」に参加。レギュラーからポジションを奪えずにいる若トラに「大名になれ!」と、下克上を求めた。猛虎の天下統一は、激しい国盗り合戦をへてこそ完成する。

 なにわの春団治こと川藤新OB会長の口から、真弓軍団への愛情と若虎への叱咤(しった)が次々に飛び出した。

 「今は球団の過渡期。若い選手がどんどん抜かないといかんのよ。変わらなきゃあかんわな。血の入れ替えをしなきゃとか(周囲に)言われるのは恥ずかしいこと。今いる選手がしっかりしていれば、そういう声も上がらないんやから」。

 03年、05年の優勝チームを土台に、阪神はほぼ毎年優勝争いに絡む強豪チームになった。ただ、武士の世は栄枯盛衰。油断すれば、淘汰(とうた)される。過渡期と表現したのは、昨年の戦いを見て世代交代が必要と感じているからだ。

 「ユニホームを着た人間はみんな五分五分。上も下もないんよ。阪神の一員になったらみんな大名、旗本になる気持ちでいかんとな。大名になって百万石をとるのか、それともチョコチョコと食いぶちをもらうのか。自分はどっちを取りたいのか、とな」。

 ポジション争いは国盗り合戦。目をつけた土地を領主からかっさらい、自分の陣地を広げていく野心が必要というわけだ。貪欲であり続けなければ、現役引退、お家は断絶…。優等生というだけでは生き残れず、ひいては真弓幕府の衰退にもつながる。

 「生き抜くためには、人の言われるがままになっていてはダメ。人の言うことばかり聞いていて一人前になった選手は過去にいないよ。アドバイスがあったとしても、自分のスタイルを構築して、自分というものを作らんと。人の言うことは参考程度でいいんよ」。

 もちろん、真弓将軍から領土を安堵(あんど)されている「大名」たちは、一筋縄ではいかない。譜代の藤川は150キロの飛び道具を持ち、外様のブラゼルも47発をぶっ放した舶来の大筒を持つ。勝つための戦略も持っている。左ひざの手術で開幕絶望といわれている城島についても、川藤会長は「絶対に開幕戦に出てくる」と断言する。

 「彼らは簡単に自分の城を渡さん。チャンスを自ら手放すことは絶対しないよ。試合を休んで、その間に代わりの選手が活躍したらどうなるか、よく分かっているからな」。

 先輩も後輩もない。主君も家来もない。激しい下克上こそがチーム強化の近道。川藤会長のエールには、V奪回、そして常勝軍団づくりへの強い思いが込められていた。

 [2011年1月3日11時41分

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