師匠に負けない!

 阪神鳥谷敬内野手(29)が11日、沖縄・名護市内の沖縄高専グラウンドでロッテ井口らとの合同自主トレを公開した。大目標のリーグ優勝に燃えるが、メジャーでも日本でも頂点を極めた「優勝請負人」井口の少し“上から目線”に触れ、日本シリーズで再会すると気合十分。昨季は控えたシーズン中の決起集会開催も積極的に動く。

 数メートル先のベンチに師匠井口が腰かけていた。勝ち取ったタイトルの数々…、何より「優勝請負人」の称号がうらやましい。南国沖縄の風に吹かれ、鳥谷が尊敬する大先輩に挑戦状をたたきつけた。

 鳥谷

 井口さんはワールドチャンピオンにもなっている。もっともっとそういうところで同じ舞台に立ちたい。交流戦を除けば、最後に(ロッテと)対戦できるのは日本シリーズ。最後に対戦したい。

 7年連続となる合同自主トレ。年々親交を深めてきた。そんな師匠に今年、聞きたいことがあった。「日本一になった。苦しい中で勝っていった。そういう雰囲気は聞いてみたい」。そう、勝利の秘訣(ひけつ)を学びたかった。

 ダイエー時代に日本一、05年にホワイトソックスのレギュラーとして世界一に。日本人で初めて日本シリーズ、ワールドシリーズの両方を制覇し、昨季はシーズン3位のロッテを日本一にまでけん引した。次々に頂点を極められる要因は?

 井口の回答はあっさりしすぎるほどシンプルだった。

 井口

 やっぱり(実際に)勝たないと分からない。

 少しニヤリとし、言葉に力を込めた。挑発でも皮肉でもない。今度こそ頂点に立ち、あの雰囲気、快感を経験してほしい。師匠の熱いゲキだった。

 鳥谷にも思いは伝わっている。選手会長2年目。セ界制覇のため行動を起こす。いざとなれば、シーズン中の決起集会開催もいとわない。

 鳥谷

 何もしないで順調にいくのが一番。しないといけないのはチームの状態が悪いからだから。ただ、『もう1回頑張っていこう』という意味でやるのは良いと思う。

 昨季は開幕前に1度開催したが、シーズン中はゼロ。赤星会長時代にはシーズン中も節目節目で行ってきたが、鳥谷も必要なら招集をかける。昨季は1ゲーム差及ばずの2位。悪夢を晴らすために…。

 昨年、ポストシーズン前に井口からメールが来た。「『日本シリーズで会えたら』と。今年は本当に会えたら、と思っています」。師匠からエールを送られ、パワーがみなぎる。

 鳥谷

 去年は本当にあと1歩。1歩で違う。去年の悔しい思いを忘れずに過ごしてきた。新たに優勝したい、という思いは日に日に増している。良い形で終われたら。

 鳥谷が師匠から「優勝請負人」の称号を受け継いだ時、虎は常勝軍団になる。

 [2011年1月12日11時21分

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