盛り上がる周囲とは対照的に、静かなスタートを切った。日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が18日、新人合同自主トレ(千葉・鎌ケ谷)で、プロ入り後初めてブルペン入りした。捕手を立たせたままの立ち投げで、変化球を交えての32球を投げた。アピールのために全力投球する新人選手が多い中、力、球数ともに自ら制限をかける“オトナの投球”だった。なお今日19日の新人合同自主トレは休みの予定。

 マウンド上での所作は、ベテラン投手のように落ち着いていた。五十嵐2軍監督、山田GMをはじめとする球団関係者と、125人の報道陣の視線を一身に受けた注目の初ブルペン。10球の肩慣らしの後、変化球を交えた32球の立ち投げは「5~6割」の力に、自ら制限をかけたものだった。

 斎藤佑

 フォームのバランスを意識しながら投げました。他人に流されず、自分のペースで調整したいので。普段通りにやって、それを見て実力がなかったら、2軍で鍛え直してやればいいです。特に格好つける必要もない。

 新人離れした“オレ流調整”には、自信がみなぎっていた。「動」と「静」。隣で熱投するドラフト3位乾とのコントラストが際立つ。「しっかりと立って、体重移動して、ボールをより前で離す。その意識です」。ブルペン投球は昨年の11月以来2カ月ぶり。リリースポイントや腕の位置など、自ら課したチェック項目を、1球1球確認しながら次の投球に移った。早大時代にはスピードにもこだわりを持っていたが、この日は最後まで球速を上げることもなかった。

 カーブを6球、スライダー、チェンジアップも各1球披露した。5球目のカーブは左にそれ、12球目のカーブもボールが指先に引っかかったショートバウンドとなり、捕手の右すねを直撃した。変化球で制球が乱れる場面はあったが、それも織り込み済み。コントロールよりも重視したのは、変化球のオフの間眠っていた細胞を、1つ1つ呼び起こすことだった。

 斎藤佑

 申し訳なかったです。ショートバウンドを投げてしまった。変化球の投げ方を筋肉に覚えさせました。(筋肉を)刺激しときたかった。

 オーバーペースを心配する“雑音”をよそに、マイペースな滑り出し。初投げの締めも「真っすぐラスト5球です」と、自らがピリオドを打った。「まだ1月。もうちょっと投げたい…というところでやめました」。映像で投球の様子を見た梨田監督も「1球1球確かめるようにしていたね。順調だね」とうれしそうに目を細めた。目標はキャンプでも、オープン戦でもない。シーズン通しての活躍を見据えている。【本間翼】

 [2011年1月19日9時12分

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