“開き直って”2011年型新打法だ!

 ソフトバンク松中信彦外野手(37)が新打撃フォームの完成を印象づけた。キャンプ初の特打で115スイングして32本の柵越え、特大場外弾で締めた。加えて一塁特守も敢行。15日からの紅白戦でも強烈アピールしてレギュラー争いを制する。

 115スイング目に放った特大場外弾が、完全復活への号砲だ。志願特打で32発目のアーチを放ち、松中は汗を拭った。15日から紅白戦がスタート。超大型補強でレギュラーを保証されていない主砲は、初戦から全開アピールする。

 「全部出る。今の立場を考えたら当たり前」。

 新フォームで、強力なライバルたちをなぎ倒す。第1クールからフリー打撃で柵越えを連発。グアムでの前倒し調整に加えて、昨季の反省を生かした新打撃フォームが絶好調な打撃を裏付けしている。

 「いい頃の打撃は捨ててますから。2011年型の打撃」。

 昼食休憩中もグラウンドでチームスタッフを相手に何度もフォームをチェックした。ポイントは構えた時に投手に対して背番号が見えないこと。右肩がホームベース側に閉じすぎないようにする点だ。

 「去年悪い時は体が開いていた。開かないようにと思って閉じると、逆に開くんで」。

 自然体で構え、鋭いスイングで一気に球をとらえる。オフに鍛えたどっしりとした下半身がそれを支える。昨年12月と1月に2度行ったグアム自主トレで、インターハイ29年連続出場を誇る中村学園女子陸上部の木林監督にメニュー作成を依頼。20種類以上のランニングメニューで、徹底的に下半身を鍛え上げた。

 立花コーチ

 下半身をしっかりつくってきているから一気にグッと振れる。いい打ち方をしてますよ。

 昨季のリベンジの気持ちと、オフの大型補強が心を燃やしている。1月27日にグアムから帰国すると「風邪だけが怖い」とキャンプインまで常にマスクを着用して生活した。妥協を許さない練習で完璧に仕上げた自信の裏返しだった。

 レギュラー奪取へ向けて、15日からの実戦でもアピールする。一塁の特守も志願して実行。左翼、DH、一塁どのポジションでも強力なライバルと戦うことに変わりはないが、自身の打撃を取り戻せば負けるはずはない。

 「第3クールまでケガなく終われてよかった」。

 “開き直った”3冠王の逆襲が始まる。【倉成孝史】

 [2011年2月14日12時31分

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