若虎、何やっとんねん!

 阪神真弓明信監督(57)が11年初陣でムカッとした。開幕相手のヤクルトに臨んだが、俊介や坂ら期待の若手野手が精彩を欠いた。まさかの3安打完封を食らい、黒星発進。「あのスイングじゃ遠くに飛ばない」と温厚な指揮官もバッサリ。こんな試合が続くと、あっという間に2軍行きやで…。

 ご機嫌に投手陣の好投を振り返っていた指揮官の表情が変わった。若手野手の話題で、明らかにムッとした。スコアボードに並んだ0は9個。たったの3安打で三塁ベースも踏めない。

 「ボールが飛ばないという話じゃなく、あのスイングじゃ遠くに飛ばない」。

 1軍キャンプに引き連れてきた若虎をバッサリと切り捨てた。これではレギュラー陣との距離は縮まるどころか広がるばかり。フレッシュな夢がしぼむ11年の初陣だった。

 深刻なのは、完封負けが、必ずしも今季から導入される公式統一球が原因ではないことだ。簡単にポップフライを打ち上げ、力のない打球が転がる。小兵の上本は2つの三振を喫した。俊介と坂のセンター争いは盛り上がりに欠けた。長打力を買われた森田は小さいスイング。アピールするという気迫が全く伝わってこなかった。

 「一生懸命やろうとしているが、思い切りの良さを見せられないのは、技術的なことじゃないか」。

 普段は選手をかばう真弓監督もさすがにオカンムリだ。目立ったのは、消極的な姿勢。怒りをにじませ、言葉が続いた。

 「しっかりしたスイング、タイミングを取っていかないと。まだまだ振りが弱いように見える」。

 若手の育成は、ここ数年来の大きな課題だ。球団や現場首脳は、その自覚を持っている。しかし一朝一夕に実現するほど簡単ではない。指揮官は精神面よりも技術面のつたなさを痛感した。

 「タイミングが合わないというのは、振れないということ。試合では相手がタイミングを外そうとして、投げてくる。それに合わして、自分のスイングができるようにならないと、ヒットは出ない」。

 今季もレギュラー陣は不動だ。いきなりポジションを奪うような期待は誰も抱いていない。ただ今季の初陣だけに、イキの良さを見せてほしかった。次戦は16日の日本ハム戦(名護)。ここでもアピールがなければ、2軍の安芸組との大幅入れ替えも現実味を帯びてくる。

 「タイミングが合わなくても、強引に振っていくくらいじゃないと」。

 真弓監督は奮起を促した。派手に沸く他球団をうらやみたくないのだが…。

 [2011年2月14日12時21分

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