阪神マット・マートン外野手(29)が、4・12開幕戦での全打席ヒットを宣言した。30日、中日との練習試合に「1番右翼」で出場。16日オリックス戦以来の猛打賞を記録して、新フォーム完成に手応え。「東日本大震災」の被災者に向けて最高のプレーを誓った。

 マートン

 ここ2、3週間は日本全体にとって大変な時期だと思う。自分としてもつらい気持ちだ。大きな観点で見れば、野球よりも大切なものはあると思う。ただ最初の1球が投げられれば自分のすべてを出して勝利に貢献したい。開幕戦の目標は全打席でヒットを打ちたい。チームとしても絶対に勝ちたいと思う。

 珍しい言葉だった。マートンは個人記録よりもチームへの貢献を優先する。そんな男が全打席安打宣言。「状況次第で進塁打もあるだろうが」と前置きはしたが、プロ野球選手ができることは最高のパフォーマンスに近づく努力しかない。

 異例の宣言は、214安打男がパワーアップを確信した証拠。この日は小笠原から初回と5回に左翼へ豪快な二塁打。7回には小熊の外角低め直球を中前にはじき返した。

 マートン

 ずっとやってきたことに、リズムも出てきて、重なりあっている。3週間前はうまくいかないと思った人もいただろうが、自分はひとつになればできると信じていた。去年よりもすべてにおいてパーフェクトな選手になりたい。

 マートンは144試合で好不調の波をつくらないことがモットーだ。ただ4月12日広島戦だけは、燃えるようなスピリットをボールにぶつける。【益田一弘】