阪神新井貴浩内野手(34)が完全に上昇気流をつかんだ。3月31日、京セラドーム大阪で全体練習に参加し、フリー打撃で5連続などアーチを連発。開幕問題に忙殺され、身も心もボロボロだった数日前から、早くも立て直しに成功。真弓監督が求める6年ぶりの「40本超え」へ、戦闘態勢を整えた。
24時間ほど前に描いた2011年初アーチは偶然ではない。新井がフリー打撃で快音を連発し、好調ぶりを証明した。
エンジンがかかり出すと、面白いように打球に角度がついた。強振しなくても「飛ばない」とされる統一球が軽くフェンスを越える。5連発も飛び出した。静かな京セラドームの左翼側から「ガコン!」とイスを鳴らす音が次々響いた。
「自分のポイントでスイングをでき始めている。まだバラつきはありますけどね。いいスイングを意識してやっていました。自分のスイングができたからじゃないですか」。
開幕問題に奔走した、24日までの10日間は「感覚が狂っていた」と認める。29日に実戦25打席ぶり安打。そして30日に今年の実戦初アーチ。連日、試合後に和田打撃コーチが投げる緩いボールを約30分間打ち込み、本来の姿を取り戻した。
大震災による「異例の事態」ならではの苦労があった。通常、阪神のオープン戦、紅白戦では、テレビカメラが選手の一挙手一投足を追う。だが無観客、テレビ放送なしの試合ではカメラも回らず、自分の動く姿を目にする機会がない。これまでは、映像を通じて打撃フォームをチェックできていたが、それができなくなった。
「やっぱり横や前から見ないと、どうなっているのか分からない。自分の感覚でチェックしました」。
新井のフォームは血と汗の結晶だ。広島時代は主砲を務めるようになってからも試合日の早出特打を欠かさなかった。不器用を自認し、不振のときは猛練習で活路を見いだしてきた。バランスが崩れても、体が答えを知っている。
今回も、28日から早出で打撃練習やランニングをこなし、体をいじめた。「結構、バリバリです。いい張りがね」。開幕日が遅れることで体調面の再調整も強いられたが、対応策は練っている。
昨年、19本塁打にとどまった主砲。真弓監督からは「40本指令」が出ている。例年以上に下半身を鍛えるなど、本塁打への意欲は強い。新井は苦難を乗り越え、再びアーチ量産態勢の軌道に乗った。【柏原誠】



