<イースタン・リーグ:ヤクルト5-7日本ハム>◇10日◇戸田

 佑ちゃんは、大丈夫なのか…。日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が不安を残したまま、明日開幕のレギュラーシーズンに突入する。10日、ヤクルト戦に先発し、7回9安打5失点。味方打線の奮起もあり2軍とはいえ公式戦初勝利を飾ったが、立ち上がりやコントロールに課題を残した。17日のロッテ戦(札幌ドーム)まであと6日。不安はないと強調したが、一方で「このままではいけない」と危機感を募らせた。

 斎藤が危機感をにじませた。すでに開幕ローテ入りを決め、交流戦までの5試合で先発が内定。だが、1軍公式戦前最後の実戦は、ヤクルト2軍に7回9安打5失点と精彩を欠いた。「ドラフト1位というだけで(ローテで)投げさせてもらっている。シーズンを通して結果を残し、自分のものにしたいです」。打たれた悔しさは見せなかったが、シーズンへの不安は誰よりも自覚していた。

 立ち上がりから制球に苦しんだ。1回、先頭の高卒ルーキー山田には外角へ3球続けた後、真ん中に入った4球目を右前に運ばれた。続く荒木へ投じた3球はいずれも低めをついたが、コースは甘かった。失策も絡み一、二塁のピンチを迎えると、3番上田には初球の直球をいとも簡単に右前へはじかれた。わずか8球で失点。内外角に投げ分けられず、打者に見極められながら最初のスイングで仕留められた。「抑えることを意識していたけれど、5失点は良くなかった」と素直に反省した。

 最速140キロと序盤から直球の威力を欠いた。変化球を駆使したが、空振りを奪ったのは96球で6回。ファウルで粘られ、見逃されたりと、全体的に決め手を欠く内容だった。前回3日に登板した慈善試合の楽天戦後、吉井投手コーチから「必殺パターンを早くつくってほしい」と注文をつけられたが、投球の軸となる直球の精度を上げなければ、それも見えてこない。「このままではいけないので、今後も鍛えていかなければならない」と、改めて心に刻んだ。山田に3安打、上田と宮出には2安打ずつ浴びた。3日の楽天戦でも松井稼に3安打と、同じ打者に固め打ちされる点は修正されていない。

 不安や課題だけでなく、収穫もあった。キャンプから約2カ月間で昨季日本一のロッテ、強力打線の巨人、阪神など8試合に登板し、計121人の打者と対戦。「プロのバッターを多く知ることができたこと」を挙げた。あとは本番でその経験を生かすだけになる。

 内容は褒められたものではないが、公式戦初勝利。だが「頼りないピッチングをしてるから、バッターが(点を)取ってやろうと思ってくれているのでは」と自らのふがいなさを嘆いた。17日は本拠地札幌ドームのマウンドで、本格的にプロ1歩を踏み出す。「とにかく初めの1勝を確実に取りにいきたいです。プロ野球選手としてやっていける部分を見せられたらいい」。冷静に現状を見つめながら、熱く結果を求める。【木下大輔】