広島野村謙二郎監督(44)が下克上宣言だ。11日、チームは阪神との開幕戦を前に、甲子園でナイター練習を行った。13年連続Bクラスと低迷しているが、指揮官は「やってみなけりゃ分からない。見返すつもりで戦う」と言い切った。屈辱を晴らすためのシーズンが、いよいよ始まる。

 戦前の低い評価を覆す。野村監督は固い決意を胸に秘めていた。

 「下位の評価をなんとか見返してやろうという気持ちで戦わなくては。指揮を執る者としては、やってみなけりゃ分からないじゃないかと。そういう強い気持ち、ハングリー精神を持って、逆襲をテーマに1年間戦いたい」。

 この日は、広島から神戸の宿舎に入り、夕方から甲子園でナイター練習を行った。投内連係やノック、打撃練習などで総仕上げを終えた。東日本大震災の影響で2週間延期されたシーズンが幕を開ける。監督就任2年目、オフからじっくりとシーズンに向けて戦力を整備してきたからこそ、手応えがある。

 打では新外国人のチャッド・トレーシー内野手(30)が4番に座る。勝負強い打撃は開幕前の実戦で証明済み。5番に入る栗原とのコンビで打線の厚みが増した。

 投手陣も前田健を筆頭に新外国人バリントンやサファテ、新人福井らが加わった。やりくりに苦労した昨季とは雲泥の差だ。

 「準備は十分にできたと思う。あとは選手を信じていいスタートを切れるように頑張りたい」。

 エース前田健太投手(23)を立てて臨む開幕戦。相手の阪神は左腕能見が濃厚。ここ2年で2勝6敗と苦手としている相手だが、頼もしいデータもある。広島は開幕戦にめっぽう強い。昨季まで通算34勝24敗3分、勝率5割8分6厘はセ・リーグ6球団で1位。現在1分けをはさんで5連勝中だ。

 昨季も前田健で快勝したが、そこから7連敗した。同じ轍(てつ)は踏まない。「開幕戦には強い、と来年は言われないようにしたい」。それは、コイの指揮官の“下克上宣言”にほかならない。