<横浜5-4中日>◇12日◇横浜

 横浜が、全員野球で8年ぶりの開幕戦勝利を飾った。同点の9回裏1死一、三塁から代打内藤雄太外野手(27)が、値千金の適時打でサヨナラ勝ち。殊勲の内藤は「毎日やってきたことを信じて打席に入りました。言葉に出来ないくらいうれしいです」と、お立ち台で涙をぬぐった。

 キャンプから取り組んできた積極走塁が、勝利を呼んだ。1点を追う6回、先頭村田の打球は左中間へ。左翼手和田が回り込めそうな当たりにも、足を止めることなく二塁を狙いセーフとなった。尾花監督も「今までにないシーン」と振り返る主将の走塁が、森本の同点犠飛につながった。

 サヨナラ打も、ベテランの全力疾走がもたらした。9回1死二塁で打席に立った代打金城の打球はボテボテの二ゴロ。それでも諦めずに一塁を駆け抜け、内野安打として一、三塁の好機をつくり上げた。

 選手全員で、どんな時も諦めず全力プレーを続けてきた。森本が「よく走るようになったと言われるけど、こんなことは言われないようにしないと。当然のことですから」と言うように、3年連続最下位の屈辱を味わった昨年までは、当たり前のことが徹底されていなかった。

 だからこそ春季キャンプでも走塁練習を繰り返した。若手からベテランまで、フリー打撃中に塁に立ち、打球判断とスタート練習。紅白戦では暴走気味の走塁も目立ったが、その中で各選手が、自分の走力に見合った積極走塁を身につけてきた。

 この試合でも7回に二塁打を放った一輝が、左飛で判断を誤り、帰塁出来ずに併殺打となるミスもあった。それでも尾花監督は「積極的なミスはいい。状況判断をしっかりしていくということ」と責めるより、今後の成長を期待した。

 「選手もやってきたことが間違っていないという確信になったでしょう。ファンに勝利と感動を届けられたと思う」。チーム一丸での全力野球で貪欲に勝利を目指していく。【佐竹実】