<中日4-5阪神>◇15日◇ナゴヤドーム

 記録ストップの区切りに勝利の花を添えたのは、アニキの後を継ぐ男の一打だった。この日で歴代9位タイ、894試合連続出場となった若き鉄人・阪神鳥谷敬内野手(29)が、7年ぶりとなる「ナゴヤドーム初戦勝利」を導いた。

 鳥谷

 初戦を取れてよかった。相手の本拠地でしっかり勝ちたかった。明日も明後日も苦しい試合になると思いますが、阪神が勝っているという試合をお見せしたいと思います。

 3回2死走者なしからつくったチャンスを、右翼線への2点先制三塁打でものにした。沈むフォークに体勢を崩されながらも、手を伸ばした。最後は右腕1本になりながら、右翼線にライナーを運ぶ。1度も減速せずに三塁へ。黄色く染まった左翼席はお祭り騒ぎ。「鬼門」の扉をこじ開けることに、選手会長は必死だった。

 鳥谷

 みんながつないでくれたチャンスだったんで。何とか自分もつなぎたかった。食らいついていこうと思った。

 昨季は2勝10敗。大きく負け越したナゴヤドームに今季初めて乗り込んだ。オフには「球場を意識するのが敗因の1つ。余計な意識を持ってはダメ」と熱弁した場所。脳裏に焼き付く嫌なイメージを、一瞬でも早く一掃したかった。

 開幕日の4月12日、午前11時45分。若手中心の早出練習開始の2時間前、鳥谷はたった1人、甲子園室内練習場にいた。携帯音楽プレーヤーで音楽を聴きながら黙々とランニング。フリー打撃まで敢行し、30分以上の自主トレを終えた。

 開幕3連戦、ほぼ同じ時間に室内に現れ、汗だくになった。場所を変えながら、昨季も続けていたルーティンをひそかに継続。“早早出”練習に取り組む努力はウソをつかない。

 入団当時からフルイニング出場を目指し、鉄人の背中を追いかけてきた。尊敬する大先輩、鉄人の系譜を受け継ぐのは、この男しかいない。【佐井陽介】