<楽天0-2日本ハム>◇10日◇Kスタ宮城

 日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が、プロ最多15奪三振の今季初完封で、楽天岩隈との投手戦を制した。最速155キロに多彩な変化球を交えて、6安打に封じ、スイングアウトの三振12個が示すように空振りの山を築いた。東日本大震災後、東北高時代を過ごした仙台での初登板で、リーグトップに並ぶ4勝目を挙げた。

 尊く、強い思いを右腕に乗せた。激戦の勝者になったダルビッシュが、大きな節目を刻んだ。今季初完封、プロ入り自己最多の15奪三振。ヒーローインタビューで「楽天の本拠地なんで勝っていいのかな、と思った」と打ち明けると、大きな拍手で祝福された。東北高時代の3年間を過ごした仙台。岩隈に勝ってもヒールではなくヒーロー。震災に見舞われても、いつもと変わらず温かかった。

 通算6度目となる岩隈との日本最高峰の投げ合い。心技体がシンクロする舞台へ、試行錯誤しながら照準を合わせた。オフに取り組んだ肉体強化を、開幕後も試合前の練習などで並行してきた。「自分はやり過ぎる部分があった」。コンディション作りに逆効果の側面があることも悟った。ウエートトレのメニューを軽くし、プロテイン量を減らすなど調整した。酒は「イッキしてもチャンポンしても翌日は大丈夫」というほど、めっぽう強い。だがほかの家族は弱く、家系的に合わないと自己分析して断った。心血を注いだ過程を土台に、最高のパフォーマンスを爆発させた。

 全身全霊の136球だった。今季自己最速155キロをマークした速球は精度抜群。決め球はスライダーに執着した。その宝刀で仕留めたのは11個。うち6個はストライクゾーンからボールになる、ギリギリのコースで空振りを誘った。巧打者・鉄平に「カットボールみたいな軌道でくる」と言わしめるほどのキレ。先発オーダーに並んだ6人の左打者から9個の三振を積み上げれば、快投は必然だった。

 過去に14三振を3度記録したが、壁を越えた。「結果ほど楽な気持ちで投げてはいなかった。出来過ぎ」と控えめだが、圧巻の結末へと導いた。尊敬する岩隈との対戦成績も、これで3勝2敗と勝ち越し。張り詰めた投げ合いが「全体的に大崩れはしないですから。(気持ちが)引き締まりはする」とスパイスにした。9回を投げ切り、4連勝を飾った。それでも24歳にして磨き上げた剛腕は「(状態は)まだ、まだ…」と、発展途上と断言した。ケジメの、重い1勝が、進化の1年を加速させる。【高山通史】