新生星野丸が“IT野球”を導入する。楽天は16日、1軍選手全員にアップル社の最新情報端末機「iPad2」を支給した。無線LAN環境さえあれば、過去の試合や対戦相手の映像を即座に入手できることになった。この日からコーチ陣の配置転換も実施。ハード、ソフト両面に手を加え、今日17日からセ・パ交流戦を戦う。

 交流戦前に楽天が“秘密兵器”を導入した。Kスタ宮城で練習を終えた選手たちは、手に手に白い箱を持っていた。何を隠そう「iPad2」。先月末、日本でも発売開始されたアップル社の最新情報端末機だ。前モデル「iPad」は世界で大ヒットし、生産が追いつかなくなるほど。性能アップした「2」は、より快適にネット閲覧が可能となった。

 そこに球団が着目。無線LANに接続して利用するWi-Fi版16GBを1軍選手全員に支給した。一番安価なタイプとはいえ、1台4万4800円。出場選手登録人数28をかけると軽く100万円を超えるが、力を入れる理由がある。支給と同時に球団はデータベースを構築。選手はパスワードを打ち込めば、すぐにアクセスできる。今季1軍、2軍全試合、次カード対戦相手の直近の試合など、貴重な映像が収められている。

 これまでもクラブハウスで同様の映像は見られた。ただ、Kスタ宮城は無線LAN完備。遠征先も無線環境の整備を進めている。もちろん、コミッショナー通達に従い試合中は使用しないが、「iPad2」なら練習の合間、移動中、自宅など個人で納得いくまで映像をチェックできる。しかも、早送り、一時停止など自由自在。親会社がIT企業の本領発揮で、球団担当者は「出来ることは何でもやりたい」と意気込む。折しも今日、交流戦が開幕。岩隈は「データが少ない。みんなで力を合わせていかないと」と対策を語った。「iPad2」が頼もしい援軍となる。新人で初交流戦の美馬も「すごく便利ですね」と喜んだ。

 ハード面とあわせソフト面にも手を入れた。この日から1軍に関川外野守備走塁、種田内野守備の両コーチが加入。ともに現役時代、中日で星野イズムをたたきこまれた2人。くしくも「元気を出すことが大切」と声をそろえた。8人に及んだスタッフの配置転換について、星野仙一監督(64)は「刺激を与えないかんと思った。誰のせい、ということじゃない」と説明。交流戦については「1つの開幕ではある。開幕は勝つことになっている」とニヤリ。

 シーズン開幕、代替本拠地でのホーム開幕、仙台開幕と、すべてに勝利した。新生星野丸の初陣「第4の開幕」もものにする。【古川真弥】