交流戦で借金を完済せよ!

 阪神南信男球団社長(56)が4連敗中のチームに発奮を促した。球団フロントは23日に大阪市内の電鉄本社で定例のオーナー報告会を行った。31試合を終え、借金6の現状を分析。「5割に戻してもらわんと…」と話した。西武戦は雨天中止となり、横浜と入れ替わりで最下位転落。13勝6敗の厳しいノルマに向け、踏ん張りどころだ。

 坂井信也オーナー(63=電鉄本社会長)ら球団首脳は23日、電鉄本社に集結した。定例の報告会を実施し、開幕からの戦いぶりを分析した。例年、30試合を節目に戦力チェックを行っている。31戦で12勝18敗1分け。当然、思い描いていた位置にはいない。南球団社長は冷静に話した。「データを見たら、得点が少ない。今は我慢の時かな…。調子を上げてくれるのを待つしかない」。

 チーム打率は2割4分4厘と低迷。昨年、大活躍だったマートン、ブラゼルの不振や鳥谷の負傷など誤算続きで開幕ダッシュに失敗した。投打のかみ合わせもいまひとつ。原因がはっきりとしているだけに、球団フロントは静観の姿勢を保った。緊急補強や1・2軍のコーチ陣の入れ替えなどの質問が報道陣から飛んだが、首を横に振った。「そんなことは考えていない」。監督、コーチ、選手を信じて、戦況を見つめる考えだ。

 ただ苦境からの脱出は強い口調で厳命した。「とにかく借金はアカン。5割に戻してもらわんと…」。4連敗で借金は今季最多の「6」。次回の定例分析となる節目時期は、交流戦の終了時。それまでの借金完済を求めた。計算上では、残り試合を13勝6敗で乗り切らなくてはならない。このハードルは高い。ロッテ成瀬や日本ハム・ダルビッシュらパ・リーグのエース級が阪神戦に軒並み登板する可能性が高い。真弓監督は就任以来、2年連続で交流戦に負け越しているだけに、かなりの発奮が必要だ。

 今季は震災の影響により、シーズン終盤戦の過密日程が避けられず、最後までペナント争いはもつれる要素はある。それだけにリーグ戦の再開までに勝率を5割に戻しておけば、十分に優勝を争えるはずだ。坂井オーナーはこの日、チームの話題を聞かれても「ノーコメント」を連発した。常に結果を求められる人気球団。今年は前評判が高いだけに、現在の最下位とのギャップはある。球団社長が飛ばした逆襲指令。きっかけをつかめば、応えられる力は備わっている。【田口真一郎】