守護神が猛烈なG倒リハだ。阪神藤川球児投手(30)は投内連携練習が終わると、1人甲子園のマウンドに残った。打席には何と真弓明信監督(57)だ。往年の神主打法のようなルーティーンから構えた指揮官に対し、火の玉ストレートをズバッ、ズバッ。続いて打席に立った桧山には、切れ味鋭い変化球をズバッ、ズバッ。無観客の甲子園に計26球、激しくミットをたたく衝撃音を響かせた。

 「知らん知らん。練習は自分の自由やから」。

 藤川は照れ笑いではぐらかした。野手の打撃練習開始を10分近く遅らせ、球場を独占した異例のマウンド投球は志願して実現。山口投手コーチは「今朝、マウンドで投げたいと言ってきた。感触を確かめたかったんじゃないか」と話した。

 最終登板は15日の日本ハム戦。今日24日の巨人戦で投げても中8日空く。VS真弓監督、VS桧山は仮想G戦士。実戦感覚を失わず、再開即、100%の力を出すために自ら編み出した特別練習だった。

 「週の半分ぐらい(救援陣で)拾っていけたら。まだ間に合う」。交流戦の終盤に力強く逆転Vを誓っている。中心となって引っ張っていく意気込みが、異例の聖地マウンド火の玉に込められていた。勝って勢いをつけ、一気の3位浮上を狙う大事な宿敵3連戦。仁王立ちのイメージは完成した。【松井清員】