<西武1-9楽天>◇25日◇西武ドーム

 西武涌井秀章投手(25)が天敵にやられた。苦手の楽天ルイーズに、2安打1本塁打で通算打率が5割8分8厘。打率1割台の打者であることを考えれば、異常な数字だ。「(敗因は)ルイーズさんですね。苦手意識とかはないんですけど…」。試合後、涌井はさん付けして“敬意”を表したほどだった。

 2打席目はカウント3ボール2ストライクから本塁打、3打席目は3ボールから左中間二塁打。いずれも甘いスライダーだった。渡辺監督は特に3打席目について「去年から同じスライダーを何回もやられている」と悔やんだ。なぜスライダーなのか。前提としてルイーズは、スライダーに弱いというのが西武ベンチの分析。この日も1打席目は外角のスライダーであえなく三振していた。ただ、弱点を突こうと意識するあまり、持ち味を消してしまっている部分があるかもしれない。直球主体が涌井本来のスタイル。小野投手コーチは「打たれていることでずっとかわしにいっている」と指摘した。

 さらに、スライダーを多投すれば投げミスも当然出てくる。よく見るボールが甘く入ってくれば、対応される確率は高まる。また、打たれたボールはいずれも130キロ台だが、比較的ドロンとした軌道。鋭い変化ではなく、ルイーズの遠回りするスイングでも拾えてしまうとも考えられる。渡辺監督は「秘策はあるよ」と笑って帰りの車に乗り込んだ。次回対戦で涌井の真価が問われる。【亀山泰宏】