<楽天5-4ソフトバンク>◇29日◇Kスタ宮城

 ソフトバンクはまさかのサヨナラ負けだ。1点を勝ち越した直後の延長10回裏。守護神馬原孝浩投手(29)は2者連続三振で、自身が07年にマークした10試合連続セーブの球団記録まであと1人としたが、2死から3連打を浴び逆転された。記録に残らない守備のミスも響き、チームは3連勝を逃した。

 勝利の女神のいたずらか、仙台の楽天ファンのパワーか。延長10回裏2死一、三塁。守護神馬原が岩村に投じた3球目の直球は、この日最速の154キロを計測した。これを振り抜いた打球は、力なく左中間方向へ飛んだ。

 外野フライで試合終了と思われた。打球は風にも乗りフェンス付近まで伸びた。左翼手長谷川が目測を誤り、打球は長谷川の1メートル左のフェンスに直撃。2者が生還し、思わぬ形で幕切れを迎えた。

 馬原

 申し訳ないです…。全力でいってるんで打球のコースとかは関係ない。申し訳ないです。

 馬原にとっては不運ではあった。10回裏は2者連続三振で簡単に2アウトを取った。だがあと1アウトで、代打草野の打球は二塁本多の前へのボテボテの内野安打となった。秋山監督は「ハードラック」と表現したものの、本多が一瞬の無駄もなくスムーズに処理していれば試合は終わっていた可能性は高い。

 失策こそつかなかったが、サヨナラ打の場面も長谷川が目測さえ誤っていなければ確実にチームは勝利していた。

 秋山監督は1球にかける執念を見せていただけに、痛い1敗となった。スタメンマスクの山崎が2回に下位打線で3点を失うと、3回の守備から細川に交代させた。和田、杉内の試合で「専属捕手」として起用してきたが、序盤の失点で、チームに喝を与える意味でも容赦なくベンチへ下げた。

 指揮官の執念と打線の粘りで、延長戦は勝利目前までいった。最後は“ミス”で3連勝を逃した。球団タイ記録となる馬原の10試合連続セーブ記録も消えてしまった。首位を快走する状況は変わらないが、大事な後半戦ではこんな1敗が響くことになる。【倉成孝史】