<阪神2-1巨人>◇13日◇甲子園

 打つ手、打つ手がうまくいかない。巨人は同点の9回、原監督から新守護神に任命された東野峻投手(25)が登板。しかし、2安打などで無死満塁とされ、代打桧山にサヨナラ犠飛を許した。不振の小笠原を外した打線は6、7回の満塁の好機をつぶすなど拙攻続き。7回1死二、三塁では、阪神榎田の投球が代打谷の足にあたり、2点入ってもおかしくないところが無得点。ツキにも見放され、とうとう自力Vが消滅した。

 守護神デビューがこんな夜だなんて…。巨人の今季を象徴するサヨナラ負けだった。1-1同点の9回だ。東野こん身の直球勝負。13球すべてに魂を込めた。ただ、先頭のマートンに右翼線ポテンヒットを食らい、次打者ブラゼルにも振り切られて、またもや右翼線にしぶとく落とされる。無死二、三塁となれば満塁策。代打桧山の3球目は、サヨナラ犠飛となった。新守護神は、表情を変えずに「次、頑張ります。(不運な当たりだったが)ヒットはヒットなんで。1イニング1イニングずつというつもりで投げました」と言った。

 守護神不在というチームの課題を埋めるべく、開幕投手を配置転換。だが、セーブのつく場面でデビューさせられない。それも、負の連鎖の産物だ。原監督は「ボールそのものはいい。まだ(シーズンは)長いわけだから。めげずに。次回もあります」と、今後も東野にストッパーを託す意向を明言した。

 ただただ、ホームが遠い。6回だ。1死から坂本安打、高橋由適時二塁打で同点。長野安打、ラミレス死球と、なお1死満塁だ。続く阿部の打球は、無情にも一塁正面、併殺となった。7回は1死一、二塁で、内海に代えて谷を打席に送った。2球目に鮮やかな重盗が決まる。1死二、三塁。絶好の勝ち越しチャンスだったが、谷は内角へのワンバウンドの球を空振り三振。ただ、投球が後ろにそれ、走者2人が「生還」した。

 勝ち越しだ!

 と思われた瞬間、投球は空振りした谷の体に当たっており、その時点でボールデッド。原監督はベンチを飛び出し、球審に確認するが、走者の生還は認められない。その後、2死満塁となったが、大村の三振で万事休す。原監督が「(重盗など)思い切って行っているけど、なかなか得点にね。1点ではキツイね」と、口を結べば、岡崎ヘッドコーチは「谷のところで最低1点、欲しかった」と、悔しがった。

 この日は11打席連続無安打と、不振の続く小笠原をオーダーから外した。存在感の大きいガッツのベンチスタートは10年6月27日以来。精神的な支柱を先発から外してでも、得点力をアップさせたい。原監督は「チームの最善策です」と、決断の背景を話した。岡崎ヘッドは「結果が出ていないし(先発落ちは)仕方がない。調子を上げてほしい。明日は明日考えます」と話した。

 手を打っても、結果が出ない。試合に勝てない。前半戦の負け越しが決まり、自力Vは消えた。原監督は「我々は1戦1戦、戦っていくだけ」と気丈に話した。【金子航】