<楽天6-1オリックス>◇16日◇Kスタ宮城
折り返し72試合目で再びAクラスが視界に入った。楽天は中4日で先発のルーキー塩見貴洋投手(22)が10奪三振、無四球でプロ初完投。打線も効果的につながり、4月30日以来の3連勝だ。オリックスをとらえ、3位に浮上したロッテとのゲーム差も0・5に縮まった。大型連勝も連敗もないまま、前半戦最後の9連戦で上昇気配。選手の潜在能力を引き出しながら日々の勝負を制す。星野仙一監督(64)の執念が実を結びつつある。
ベンチ上座にどっかと座り、でっかい両手で何度もかしわ手を打った。星野監督の穏やかな一声は「今日は全員がいい仕事をした」で、平等かつシンプルに選手を評した。4月末以来の3連勝。無我夢中に駆けてきた特別なシーズンを、上げ潮で折り返した。
塩見は最高だった。「フォークが練習通り落ちた。腕を振って前で離す。ようやくできた」。5月頭、チーム事情で舞台に加わった新人。登板間に課題を克服し相手を沈めていった。打線も塩見を援護した。3回だ。松井稼が四球で出塁。内村が送れなかったが松井稼が盗塁で取り返し草野の適時打につなげた。6回はその内村がやった。満塁から走者一掃の適時三塁打でダメ押し。小兵の打球が中堅の頭上を越えていった。
井坂、川井、塩見。中3日、中4日の間隔で先発する投手の腕が振れ、ことごとく今季最高の投球をする。「間隔でなく、球数で考えろ。130球投げた投手に、中3日なんて命じない。すぐ投げたいのが投手の本音だろ」と監督。一流の心持ちを植え付けつつ無謀は避ける。ギリギリを保ちながら個々の偏差値を高めていく。野手も同じ。この日が56通り目のスタメンオーダーだった。固定できないが、日々の調子でやりくりする。柔軟性に富んだ起用は、固定観念がいかに選手の成長を妨げるかを証明している。
今は、気が付けばこの位置にいるという段階。「選手に『場』をいっぱい経験させたい」と言う。
星野監督
修羅場、正念場、火事場、ヤマ場。乗り越えてきた数で勝負は決まる。今のウチに絶対的に足りない部分。本当の強さを教えてやりたい。
結局「まずは借金を返すことだ」と厳しい口調で終わった。岩隈、山崎が復帰間近。しびれる日々はここからだ。【宮下敬至】



