<阪神5-9横浜>◇30日◇甲子園

 3発スレッジに張り合うように、クレイグ・ブラゼル内野手(31)が復活の2アーチを甲子園にかけた。4回の8号2ランは一時は逆転となる値千金の1発。長打が出なくてモヤモヤしている間に、“小ブラゼル”森田が台頭してプロ初アーチの猛アピール。これからは親分ブラゼルが本領発揮だ。

 9回裏、5点差。時間は夜9時半を回っていた。それでも声援を送ってくれる人がいる。先頭打者ブラゼルはあらん限りの力をバットに込めた。

 横浜真田の初球、高め145キロを振り抜き、右中間最深部フェンスを軽々オーバーだ。この日2発目の9号ソロ。「負けてしまった。特に言うことはないよ」。例え空砲に終わろうともあきらめない姿勢を体現した。

 先発鄭凱文が3回8安打2失点で早期降板。嫌な雰囲気が立ちこめる試合中盤には、怪力で流れを変えていた。1点を追う4回無死一塁。横浜須田の内角141キロ直球を捕らえ、ライナーで右翼席ポール際に突き刺した。一時は逆転弾となる8号2ラン。「みんなに喜んでもらえる場面で打てて良かった」。ここで1発がほしい--。ナイン、虎党の期待に満点回答した。

 低反発球に戸惑い、シーズン半分を過ぎてもわずか7本塁打だった。打率は2割8分台をキープしているが、やはり魅力は1発だ。6月28日広島戦(富山)以来、出場21試合ぶりのアーチ。ようやく飛び出した7月第1号そして2号はチーム、B砲自身にとって大きな意味を持つはずだ。これでメジャー時代の1本塁打を含め、日米通算100本塁打。日本100号に王手をかけた。

 ニューヨークメッツ在籍時を除き、自身の入場曲を変えたことがない。Hank

 Williams

 Jr.が歌う『If

 Heaven

 Ain’t

 a

 lot

 Like

 Dixie』が大のお気に入りだ。「地元、アラバマ州の歌なんだ。さすがにニューヨークで流す勇気はなかったけどね」。異国で戦う今も、故郷の歌がエネルギーとなっている。

 横浜スレッジの3発に負けじと、今季2度目の1試合2発で反発。「小ブラゼル」こと、弟分の森田はこの日も代打で右前打を決めたが、兄貴分の貫禄を見せつけた。

 ブラゼル

 今日は相手に上回られたけど、チームとしては打線も打てているし、状態は悪くないと思う。

 最後は前向きな言葉に力を込めた。今日こそ、勝利を強引に引き寄せる。